五 企業体質?
文字数 910文字
クライアントは説明した。
事業部長とクライアントの質疑応答の後半で、事業部長はクライアントの精神状態を気にする発言をした。
「そんなに嫌がらせされたら、精神がまいってしまうね?」
「はい。まいります・・・」
クライアントの返答に、事業部長は、
「気晴らしに何かしてますか?」
意図的なのか、ハラスメント被害とは異なる意図の質問をした。
「いいえ。何もしてません」
クライアントは、俺の忠告、
『クライアントと私との間で交わされた会話も記録も、全て守秘義務がありますから秘密は厳守します。あなたも私がこれから話す事を秘密厳守してください』
を守って、このカウンセリングルームでカウンセリングを受けている事を事業部長に話さずにいた。
「気晴らしに出かけたりするのはどうですか?
なんなら、今度、ドライブに行きませんか?
おいしいパスタの店があるんですよ」
事業部長の誘いに、
「・・・・」
クライアントは返す言葉がなかった。
『何よ!こいつ?!不快な感情を喚起する言動は全てハラスメントなんだよ!
こいつ、ハラスメントの意味がわかってないわ!
ハラスメント被害再調査委員会が聞いて呆れる!』
クライアントはそう思ったが、気まずい時間を避けるため、
「奥様を連れてってあげてください。
自分の車があるから、気晴らしは自分でできます」
と言った。
事業部長はクライアントの言葉で下心を見抜かれたと気づいたらしく、
「いや、誤解しないでくれ。ハラスメント被害者全員に話してるんだ・・・」
と弁解している。今さら言い訳は通用しない。
「では、質疑応答はこれで終りにしていいですね?」
「ああ、もちろんだ。うまいパスタなんだが・・・」
事業部長はなおも言い訳している。
「ここでの録音を委員会に提出するんですよね?」
「ウウッ、まあ、それなりに・・・」
事業部長は言い渋っている。クライアントは会議テーブルの椅子から立ち上がって、ポケットからボイスレコーダーを取り出し、録音をオフにした。
ギョッと顔を強ばらせる事業部長を尻目に、クライアントは質疑応答がされていた会議室から退室した。
事業部長の隣にいる常務取締役は、事業部長の質疑に顔をしかめたままだった。
事業部長とクライアントの質疑応答の後半で、事業部長はクライアントの精神状態を気にする発言をした。
「そんなに嫌がらせされたら、精神がまいってしまうね?」
「はい。まいります・・・」
クライアントの返答に、事業部長は、
「気晴らしに何かしてますか?」
意図的なのか、ハラスメント被害とは異なる意図の質問をした。
「いいえ。何もしてません」
クライアントは、俺の忠告、
『クライアントと私との間で交わされた会話も記録も、全て守秘義務がありますから秘密は厳守します。あなたも私がこれから話す事を秘密厳守してください』
を守って、このカウンセリングルームでカウンセリングを受けている事を事業部長に話さずにいた。
「気晴らしに出かけたりするのはどうですか?
なんなら、今度、ドライブに行きませんか?
おいしいパスタの店があるんですよ」
事業部長の誘いに、
「・・・・」
クライアントは返す言葉がなかった。
『何よ!こいつ?!不快な感情を喚起する言動は全てハラスメントなんだよ!
こいつ、ハラスメントの意味がわかってないわ!
ハラスメント被害再調査委員会が聞いて呆れる!』
クライアントはそう思ったが、気まずい時間を避けるため、
「奥様を連れてってあげてください。
自分の車があるから、気晴らしは自分でできます」
と言った。
事業部長はクライアントの言葉で下心を見抜かれたと気づいたらしく、
「いや、誤解しないでくれ。ハラスメント被害者全員に話してるんだ・・・」
と弁解している。今さら言い訳は通用しない。
「では、質疑応答はこれで終りにしていいですね?」
「ああ、もちろんだ。うまいパスタなんだが・・・」
事業部長はなおも言い訳している。
「ここでの録音を委員会に提出するんですよね?」
「ウウッ、まあ、それなりに・・・」
事業部長は言い渋っている。クライアントは会議テーブルの椅子から立ち上がって、ポケットからボイスレコーダーを取り出し、録音をオフにした。
ギョッと顔を強ばらせる事業部長を尻目に、クライアントは質疑応答がされていた会議室から退室した。
事業部長の隣にいる常務取締役は、事業部長の質疑に顔をしかめたままだった。