六　ハラスメントの加害者名簿

「委員会というのは、ハラスメントの加害者を割りだすための調査委員会ですね？調査する側がこれでは、あなたが考えているように、調査委員はハラスメントを理解してませんね・・・。
　さてどう対応したらいいでょうか？」
　私は考えこんでしまった。事業部長はともかく、名も知れぬ平社員をどう扱えばよいか見当もつかない。

「あの女係長のようにできませんか？事業部長も他のハラスメント加害者も」
　クライアントの目が輝いている。

「事業部長はなんとかなりますが、加害者の平社員を特定しないと対処できませんよ」
「いえ、加害者名はわかります。ここに書いてきました」
　クライアントはバッグからレポート用紙を取り出した。テーブルに拡げた用紙に十一名の社員名があった。

「この者たちは、あの女係長の取り巻きでした。手下と言っていい者たちでした。今も、新人を虐めて喜んでいます」
　クライアントは社員名を見つめている。クライアントから、この十一名を叩きのめしたい気持ちがひしひしと伝わってくる。

「わかりました。なんとかしてみましょう。
　前回同様に、ここでの話は内密ですよ」
　俺はクライアントをみつめた。

「はい。互いに守秘義務がありますね！」
　クライアントがレポート用紙から俺に視線を移した。顔に笑みが表れている。