第7話 末法の世だと言うけれど

文字数 469文字

 今は、末法の世だそうである。末法の世というのは、人間の心中が複雑になり、社会も錯綜しているがゆえに善悪の判断が難しくなり、徳積み自体ができない時代、それゆえに神仏がそっぽを向いている状態らしい。

 では、神仏が完全に人類を見放したかといえば、そうでもなく人類の行動だけは見ていてくれるらしい。

 しかし待てよ、神仏は物言わぬ存在である。お伺いをたてるわけにもいかない。いかがしたものかと長年道を探しては逡巡していた。

 つい数ヶ月前のことである。you-tube に巨人軍の元エースであったKMの談話が動画にアップされていた。

 「高校時代は、まだ誰も起きていない早朝に早起きして、道の清掃をした。誰にも見られないように」というくだりを観た。

 私はこれだと思い、寒い冬の最中、早起きして道の清掃に出かけた。たしかに、これをやると天啓に恵まれる。何の変哲もない人が市井で修行するにはうってつけのように思われた。

 しかし、私の修行は中断した。ゴミを可燃物と不燃物に分別しなかったために周囲にうすうす気づかれてしまったのだ。これも末法の所以か。
 
 


 
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