第11話 秋

文字数 503文字



 秋は、何となく寂しくメランコリックになる季節である。

 特に、銀杏の並木道、東京で言えば神宮外苑など枯葉が舞い散る頃には、これはいっそう顕著になる。

 人は、枯葉に生命の儚さ、生命の終わりを見ているのかもしれない。

 初秋の朝、蝉や黄金虫の死骸がJRのホームに堕ちていることがある。早朝には、乗客は気にも止めない。
 これが、一層ものの哀れを誘う。

 秋はまた、馬肥ゆる季節でもある。
 いまだ昭和の時代には、東京でも枯葉を履き集め、地面に穴を掘り、焚火をした処にサツマイモを銀紙で包んで放り込んで、焼き芋を楽しんだ。

 女子の歓声と目の輝きが、秀逸であったし、コミュニティーの結束にも役だったのだが、令和の時代には、消防法の関係もあり、東京では見られなくなった光景である。

 焼き芋は、コンビニでいつでも買える時代になったのである。

 このような特殊な期間であるため、歴代の先輩詩人達は、恋愛をからめて何だかんだと詩を吟じた。

 しかし、この秋そのものが、地球の温暖化で非常に短くなった。

 「あちー」と言っていると思ったら、直ぐに「さみー」となってしまう。ホントに寂しいことは、地球気候の変異、これなのかもしれない。
 

 
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