第31話
文字数 674文字
「だめ、かな?」
俺はもうひと押ししてみた。
彼女は迷っているように見えた。無理もない。胸という体のかなりデリケートな箇所に触れるのだから。恥ずかしさもあるだろうし、体の触れ合いにためらいを持つのは、高校一年生の女の子なら当然だろう。
彼女は――
かなりためらいつつも俺の左腕に手を回した。
顔は真っ赤に染まっている。
でも、決して嫌がっているわけじゃないのは伝わってくる。
俺の全神経が左腕に集中したと言ってもいいくらい、鋭敏になっていた。
そして、待ちに望んだ瞬間が訪れた。
俺の左腕の肘と二の腕あたりにやわらかくて温かい感触が生まれる。
間違いない。彼女の胸のふくらみだ。ブラとワンピース越しだけどたしかに感じる。
今年、十六年目を迎える俺の人生で、初めての感動だった。俺は感動のあまり泣きそうになった。
「これで……いい?」
「うん……」
ところが、あろうことか、俺はそのまま硬直してしまった。このまま腕を組んで歩き出したいのに、足が動かない。
青井さんも俺にぴたっと密着したまま動かずにいる。
何やってんだ俺! ここで俺がリードしなくてどうする! せっかく青井さんが腕を組んでくれたのに!
俺は体を動かそうと必死になったけど、意に反して体は金縛りにでもあったかのように動いてはくれなかった。
「……ねえ、遊木くん? さっきまでみたいに手をつないで歩かない? こうして腕を組むのは嫌じゃないけど、その……すごく、恥ずかしい」
青井さんに心配されてしまった。
俺、カッコ悪すぎだろ。
俺は情けなさで泣きたくなったけど、はっと悠弥の言葉を思い出した。
俺はもうひと押ししてみた。
彼女は迷っているように見えた。無理もない。胸という体のかなりデリケートな箇所に触れるのだから。恥ずかしさもあるだろうし、体の触れ合いにためらいを持つのは、高校一年生の女の子なら当然だろう。
彼女は――
かなりためらいつつも俺の左腕に手を回した。
顔は真っ赤に染まっている。
でも、決して嫌がっているわけじゃないのは伝わってくる。
俺の全神経が左腕に集中したと言ってもいいくらい、鋭敏になっていた。
そして、待ちに望んだ瞬間が訪れた。
俺の左腕の肘と二の腕あたりにやわらかくて温かい感触が生まれる。
間違いない。彼女の胸のふくらみだ。ブラとワンピース越しだけどたしかに感じる。
今年、十六年目を迎える俺の人生で、初めての感動だった。俺は感動のあまり泣きそうになった。
「これで……いい?」
「うん……」
ところが、あろうことか、俺はそのまま硬直してしまった。このまま腕を組んで歩き出したいのに、足が動かない。
青井さんも俺にぴたっと密着したまま動かずにいる。
何やってんだ俺! ここで俺がリードしなくてどうする! せっかく青井さんが腕を組んでくれたのに!
俺は体を動かそうと必死になったけど、意に反して体は金縛りにでもあったかのように動いてはくれなかった。
「……ねえ、遊木くん? さっきまでみたいに手をつないで歩かない? こうして腕を組むのは嫌じゃないけど、その……すごく、恥ずかしい」
青井さんに心配されてしまった。
俺、カッコ悪すぎだろ。
俺は情けなさで泣きたくなったけど、はっと悠弥の言葉を思い出した。