第13話

文字数 768文字

 学校の勉強とは違う頭の使い方をするゲームだなと思った。
 そして、めちゃくちゃ脳が疲れた。
 そんな俺の様子を見て、悠弥が苦笑した。
「まあ、初めてのボードゲームがカルカソンヌじゃ敷居が高すぎたな。ほんとはもっと簡単なカードゲームとかがあるんだが、やってみた通り、ボードゲームはけっこう頭を使うものだ。お前、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないかもしれない。どうしよう」
 俺は一気に自信をなくした。ボードゲームなんてもっと簡単なものだと思ってた。
「青井さんもいきなり高難易度なボードゲームをやろうとは言い出さないと思うけどな」
 悠弥のフォローも耳に入らなかった。
 どうしよう。青井さんに失望されたらどうしよう。
 そんな俺の様子を見ていた悠弥が膝を打った。
「お前、青井さんをデートに誘え」
「は?」
 俺は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
 だが、悠弥は至極、真面目だった。
「今から電話しろ。連絡先は、まさか交換してあるんだろ?」
 俺はこくこくとうなずく。
「だったら電話だ。今ここでな」
「ここで⁉ 今⁉」
 俺は思わず叫んでいた。あわてて口を押さえる。
「なんで今?」
 俺が小声で尋ねると悠弥は言った。
「お前、ボードゲームについて何も知らないだろ? 失点を重ねる前に得点を稼いでおくんだよ」
「で、でも」
「何びびってんだよ。そんなんじゃ、すぐに青井さん誰かに盗られるぞ」
 絶対に嫌だった。それだけは絶対に。
「わかった……電話する」
「よし。まず、電話してもいいかLINEしろ」
 俺はスマホを取り出すと、LINEアプリをタップして青井さんとのトーク画面を表示した。そこには、ありがとうの文字とスタンプが載っている。そこに続けて、今から電話してもいいかなとメッセージを入力する。
 そして――
「送信しろ」
 悠弥に言われて送信をタップする。タップする手が思わず震えた。
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