コクーン
文字数 604文字
仄暗い場所に、大人よりも大きな繭が在った。その繭は、格子状に分けられた区間で糸を張り巡らせ、それを眺める何者かの姿もある。大きな繭は、少なくとも数十在り、中身の無い繭も複数在った。羽化を待つ繭の幾つかからは物音がし、繭を観察する者はそれを注意深く聞いていた。そして、その内の一つに穴が空き、粘液と共に生肉の様な色の触手が飛び出した。何者かは、羽化をしようとする繭に近付いていき、うねうねと動く触手を注視した。
「おめでとう、元魔法使い君。君の願いは叶えられるかも知れないよ?」
何者かは、そう言うと新たに這い出てきた触手を眺めた。新たに這い出た触手は活きが良く、間近に居る者に触れようともがいた。
「駄目、駄目。どうせなら、ほぼ孕む生き物を相手にしなきゃ」
何者かは、瓶に入れていた粉を触手に掛けた。すると、触手は大人しくなり、繭からだらりと垂れ下がった。
「さあ、次はどの子が来てくれるのかな? 弱い子だと嬉しいなあ」
触手の粘液と重さで繭は裂け始め、ある程度の隙間が開いたところで触手を持つ生物は床に落ちた。すると、触手生物は桃色の光に包まれ、繭の下から姿を消した。
「今度こそ、しっかり……してやれよ?」
空の繭の前に立つ者は、空虚な殻を見て冷笑した。繭の中は粘液が滴っており、それは緩やかに床を汚した。だが、その汚れに構う者は居らず、ただただ繭から流れ出る粘液が床を汚し続けた。
--人気次第でコンテニュー。
「おめでとう、元魔法使い君。君の願いは叶えられるかも知れないよ?」
何者かは、そう言うと新たに這い出てきた触手を眺めた。新たに這い出た触手は活きが良く、間近に居る者に触れようともがいた。
「駄目、駄目。どうせなら、ほぼ孕む生き物を相手にしなきゃ」
何者かは、瓶に入れていた粉を触手に掛けた。すると、触手は大人しくなり、繭からだらりと垂れ下がった。
「さあ、次はどの子が来てくれるのかな? 弱い子だと嬉しいなあ」
触手の粘液と重さで繭は裂け始め、ある程度の隙間が開いたところで触手を持つ生物は床に落ちた。すると、触手生物は桃色の光に包まれ、繭の下から姿を消した。
「今度こそ、しっかり……してやれよ?」
空の繭の前に立つ者は、空虚な殻を見て冷笑した。繭の中は粘液が滴っており、それは緩やかに床を汚した。だが、その汚れに構う者は居らず、ただただ繭から流れ出る粘液が床を汚し続けた。
--人気次第でコンテニュー。