むすびに替えて ~「かわいい」はきっと、あとからついてくる~

文字数 1,379文字

 いかがでしたか。お楽しみいただけましたでしょうか?
 本当はもっともっとご紹介したい《女の子が活躍する物語》、あります。
 また別の機会にご紹介できたらと思います。

 最後に、むすびのことばに替えて、少しだけ書かせてください。

 私……、
 子どものころ、よく、「かわいくない」と言われて、育ちました。

 かわいくない。
 かわいげがない。
 何度言われたか、わかりません。
 おかげで、自分は、とてもみにくいのだと思っていました。かるい醜形恐怖、でしょうか。
 ふた目と見られないほどみっともない……、わけでも、なかったらしい、ということに、やっと慣れてきたのは最近です。
 女の子どころか、女も卒業していいんじゃないかという歳になって、やっと。笑

 かわいいって、何でしょうか。
 見た目のかわいさ、しぐさやしゃべりかたのかわいさ、気持ちのかわいさ。
 じつはそれは、たったひとつのことにかかっています。

 誰かがあなたを、かわいい、と言ってくれるとき、あなたはかわいいのです。

 tree編集部さんが
「『かわいい』をわたしに取り戻す」
 という記事をアップされています。
 https://tree-novel.com/works/episode/60d21aeffdd977df143bf97c74eecc77.html
 これを読んで、思いました。静かなあきらめとともに。
 ああ、ここには、私の居場所はない。
 幼かった私の居場所もなければ、いまの私の居場所もない。

「かわいい」ことは、すばらしいことです。
 ただ、それは、
 あなたを受けとめ、抱きしめ、ほほえみかけ、
「かわいい」と言ってくれる人がいる、ということは、

 どんなあなたであろうと、
 つまり、あなたがいい子でなくても、りっぱでなくても、
 あなたがあなたであるだけで「かわいい」と言ってくれる人がいるということは、

 すべての女の子に(そして男の子に)とっての必需品でありながら、
 すべての女の子に(そして男の子に)与えられているわけではない贅沢品です。

 愛され、理解され、肯定されて育つ女の子たち(そして男の子たち)。
 彼らが「かわいい」をめざすための本が、もちろんあっていいのです。
 けれども、もしかして、もっと本を必要としているのは、
 本に飢え、渇いているのは、
「きみも生きていていいんだ」という支えを求めて、本にすがりつこうとしているのは、

 もっと孤独な女の子たち、そして、男の子たちかもしれません。

 ふりかえったら、私がここでご紹介した女の子たちは、誰も「かわいい」をめざしてはいませんでした。
 とてもかわいい子たちなのだけれど、
 けっきょく彼女たちは、他にやることがあって、それをいっしょけんめいやっている姿が、見ていて「かわいい」のじゃないかなと思います。

「『かわいい』なんてバカにしてる!」と、つっぱっちゃうことじたい、若くてかわいいです。
 そんなつっぱる必要もない、「かわいい」をめざしたっていい、
 でも、めざさなくてもいい。

 大切なものを、大切にして、生きていれば、
 いつか誰かがきっと、「かわいい」と言ってくれる。
「かわいい」はきっと――かならず、あとからついてくる。

 子どもたちに(そして大人たちに)はっきりそう言って、励ましてくれる本が、
 もっともっと世の中にあふれればいいな、と思います。 


ミムラアキラ

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