なかやすみ(かんわきゅうだい) つづき

文字数 1,412文字

 子どものころ、よく男の子たちと遊んでいました。女の子どうしより。
 近所の子どもに、男の子が多かったのだと思います。

 加えて、小さいころから私は、ファンタジー好きでした。
 おままごとをするにも、
「馬車で草原を旅している一家」
という設定にしたりとかしていました。
 それ『大草原の小さな家』(ローラ・インガルス物語)の観すぎでしょって、はい、そのとおりです。

 おままごとが嫌いなわけではなかったのですが、
 問題は、私ではなく、男の子たちのほうにありました。
 彼らはなかなか、《お父さん》や《赤ちゃん》にキャスティングされることをよしとしてくれないのです。そりゃそうだよね。
 しかたないから、私が支配権を行使できる唯一の男性、つまり弟に、いつも《お父さん》役をふっていたのですが、
 この《お父さん》、かならず開始後10分以内には、行方をくらましてしまうのでした。
 そのまま帰ってこないのですから、寅さんよりひどいです。

 それと、私の資質もありました。
 幼稚園で「おとなになったらなりたいもの」を書かされて、まわりの女の子たちがすなおに「およめさん」と書いているのを見て、
(およめさんは、いちにちでおわりなのに?)
と真剣に悩んでいました。
 それ齢(よわい)四歳にして負け犬決定だよ。私よ。笑

 そして、自分では覚えていないのですが、母の証言によると、
 首にふろしきを巻いてもらい、座布団を数枚重ねた上から
「とう」
と飛んでいたそうです。
 何がしたかったんだ。私よ。笑笑

 そんなわけなので、
 近所の子たちと遊ぶときも、男の子たちの特撮ヒーローごっこに混ぜてもらいたくてしかたないのですが、
 これもまた、なかなか歓迎してもらえません。
 自分でも、気がついていました。
 ポジションがないのです。

 自分でも思いましたもん。
 昭和の当時、ヒーローごっこに必要な女の子なんて、
 1、敵にとらわれたお姫さま
 2、チームの下位メンバー
 初めから1は除外です。そんな美貌はありません。しかし2もですね、これもね、運動神経がどんくさい私みたいな女には無理じゃないですか。
 足手まとい!
 かりに足手まといでも、美人なら許されるけど(アンヌ隊員とか初期の003フランソワーズとか初期の森雪とか)、けっきょくそこなのです。涙

 ドロンジョ様をまだ知りませんでしたけど、ドロンジョ様だって、あのルックスとプロポーションあってのドロンジョ様ですからね! ね!

 だから、ですね、逆に、いまでも、
「平凡な、何のとりえもない女の子の私が、気がついたらいつのまにかヒロインに」
というストーリー展開が、大変に嫌いでギョざいます。笑
 そんなわけなかろう!!(心からの叫び)
 ヒロインになれない自分としては、ヒロインになる人は、かならず圧倒的な《何か》を持っていてほしいのです。もう、まぶしくてめちゃくちゃ憧れちゃう何かを。

 圧倒的な美貌とか、
 圧倒的なプロポーションとか、
 圧倒的な美貌とプロポーションとか、いや、ドロンジョ様から離れますね。笑

 圧倒的な正直さとか。
 圧倒的な優しさとか。
 圧倒的な無私無欲とか。
 圧倒的な才能とか。
 圧倒的な、人を愛する能力とか。

 何もないのに、たいしたことないのに、ヒロインになれる女の子なんて、そんなのずるい。何かずるいことをしているにちがいない。
 というね。たぶん、そう思ってたんですね、首にふろしき巻きながら。

 何だその世界観は。私よ。笑
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み