第10話

文字数 557文字

       10

 楓ちゃんとの初練習の六日後の昼、午前練を終えた俺たち男子Cは、吉田サッカー公園にいた。J1のサンフレッチェ広島対J2の山口フログモスの練習試合が、午後二時からあった。
 吉田サッカー公園はサンフレッチェの練習場で、北側には自然公園もある。小中時代は、俺もよく家族と来てたよ。
 俺はCのメンバーと一列になって、サッカー・コートと、コートを囲むフェンスとの中間で、体育座りをしていた(客席がないからね)。
 試合は一般公開されているので、俺たちの周りには、楽しそうな雰囲気の家族連れや、両クラブのユニフォームを身に着けたファンの姿があった。
 しばらくして、両チームのスタメンが、コートに歩いて入り始める。サンフレッチェの面々の中には、皇樹の姿もあった。背番号は、18。大人である他の選手に負けない、堂々たる体躯である。
 整列、円陣が済んで、選手たちはそれぞれのポジションに着いた。サンフレッチェのフォーメーションは4─2─3─1だ。
 トップ下に入った皇樹は、右を向いて人差し指を差し、何やら大声を出していた。目付きは鋭く、迂闊には話し掛けられないオーラが出ている。
 しばらくして、ボールがコートの中央に置かれ、フログモスの選手の二人がセンター・サークルに集まった。ホイッスルが鳴って、試合が開始される。
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