猫の日SS

文字数 397文字

 なー、って膝の上に乗ってきたスヴァットが撫でろと要求している。
仕方ないなと撫でてやるものの、時々片目を開けてこちらを窺い不満気だ。何処を撫でてほしいのか、イマイチ判らないんだよな。
 そっと横から伸びてきた手に黒猫を譲ると、程無くしてごろごろと気持ちよさそうな声。

「みごとなもんだな」
「ツボみたいなのがあるんだよ。この辺とか、この辺とか。個体によって少しずつ違うけど色々試してやるといい」

 トーレの声にスヴァットは飛び上がった。彼を向いて背を丸めフーって威嚇までしてる。

「喉鳴らす程、トーレの撫で方好きだろう?」

 あんなに気持ちよさそうなのに。トーレが撫でていることに気付くといつも不機嫌になる。
 うにゃん!って抗議されても、下手に撫でられるよりいいと思うんだが……
 猫の気持ちはよく解らないな。
 後で干物でも焼いてご機嫌をとればいいかと苦笑するシェスティンだった。
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登場人物紹介

シェスティン


 主人公。死ねない。年を取らない。

 常にあちこちを旅している。

 本人は呪いだと言っているが、呪いを感知できる竜は呪いではないと言う。


 イラストは 深海さん よりいただいたもの

 (表紙イラストは さかなさん からのいただきもの)

スヴァット


 非常食にしようと思っていたウシガエルが変身した?!

 どうやら多くの呪いにかかってる模様。シェスティンと呪いを解く旅に出る。

 月の光に当たっている間だけ……


 イラストは作者落書き

ラヴロ


 竜の生き残り。かつては『孤高の竜』と呼ばれていた。

 洞窟の奥深くにひっそりと暮らしている。シェスティンとは長い付き合い。

 真実の名前をシェスティンに預けている。


 イラストは pendleburyannetteさんによるPixabayからの画像 (著作権フリーのもの)

トーレ


 行商をしているが、実は薬師。お人好しで少々危なっかしい。

 シェスティンが竜の鱗を持っていると知って、何やら画策するのだが……


 イラストは 樹里さん よりいただいたもの

時紡ぎ


 大陸に残るおとぎ話に出てくる、時を紡ぐ存在。

 お姫様に恋をして、仕事が手につかなくなる。お話のラストにいろいろなバリエーションがあるが、ハッピーエンドは少ない。


 イラストは作者落書き

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