第1話
文字数 703文字
あなたに申してあげましょう
白金 幸一郎
(どうか、縦組みでお読みください)
第零章 主題
僕は春の匂いが好きになっていた。花のような春の匂いが、鼻にツーンとして、それは青い花だと思った。一年前の入学式の時も、同じように鼻がツーンとして、青い花を探したりもした。
小学二年生になった僕の教室は、一年生の時と同じ顔ぶれだった。僕は一年生の時からずっと、女子にも男子にも無視されて、担任の先生からも、あまり相手にしてもらえなかった。
今日の始業式の時に、新しい担任の先生を体育館で紹介された。新しい先生は女の先生だったけれど、どこか赤いお姉ちゃんという感じがした。
優しそうなお姉ちゃんみたいな先生かもと思ったけれど、きっとまた、先生には相手にされないと思った。
それでも僕は、誰かに相手をして欲しいから、いつも一人で騒がしくなる。今日も暴れん坊になろうと思った。
新しい女の先生が教室に入ってきた。そして先生が「出席を取ります」と言った。僕は自分から出席を出しに行く事にした。
「先生、先生! 僕の名前は山岡茂。趣味は優しく女の子を泣かせる事です!」
「いちいちゆわんでもよろしい。山岡君の趣味には興味ないから。それで特技は?」
「えーっと、特技の意味が分かりません」
「せやったら、特技の意味が分からない事を特技にしなさい。それも立派な特技やよ」
新しい女の先生は、僕には特技があるという事を教えてくれた。優しい先生だと思った。そしてどこかの男子が言った。
「山田君、先生に座布団一枚!」
先生は紫の座布団がもらえるのか。
僕は先生を羨ましいと思った。
白金 幸一郎
(どうか、縦組みでお読みください)
第零章 主題
僕は春の匂いが好きになっていた。花のような春の匂いが、鼻にツーンとして、それは青い花だと思った。一年前の入学式の時も、同じように鼻がツーンとして、青い花を探したりもした。
小学二年生になった僕の教室は、一年生の時と同じ顔ぶれだった。僕は一年生の時からずっと、女子にも男子にも無視されて、担任の先生からも、あまり相手にしてもらえなかった。
今日の始業式の時に、新しい担任の先生を体育館で紹介された。新しい先生は女の先生だったけれど、どこか赤いお姉ちゃんという感じがした。
優しそうなお姉ちゃんみたいな先生かもと思ったけれど、きっとまた、先生には相手にされないと思った。
それでも僕は、誰かに相手をして欲しいから、いつも一人で騒がしくなる。今日も暴れん坊になろうと思った。
新しい女の先生が教室に入ってきた。そして先生が「出席を取ります」と言った。僕は自分から出席を出しに行く事にした。
「先生、先生! 僕の名前は山岡茂。趣味は優しく女の子を泣かせる事です!」
「いちいちゆわんでもよろしい。山岡君の趣味には興味ないから。それで特技は?」
「えーっと、特技の意味が分かりません」
「せやったら、特技の意味が分からない事を特技にしなさい。それも立派な特技やよ」
新しい女の先生は、僕には特技があるという事を教えてくれた。優しい先生だと思った。そしてどこかの男子が言った。
「山田君、先生に座布団一枚!」
先生は紫の座布団がもらえるのか。
僕は先生を羨ましいと思った。