(三)-4

文字数 304文字

 二人は駅の方へ歩いて行ってから、線路沿いの細い路地を進み、駅から少し離れた場所の廃ビルに入っていった。
 私も入ろうかと思ったけど、怖くて入れなかった。狭いビルだったので、入ればすぐに二人に見つかってしまう。しかも場所は表通りから一本入った狭い路地だった。
 この路地には店が多く建ち並んでいるのに、昼過ぎにもかかわらず開いているお店は少なかった。それらの店は窓がなかった。看板には店の名前のほかに「スナック」や「バー」などと書かれていた。どういう店かは入ったことがないので知らないが、要するに夜にお酒を提供する店なのだろう。だからこの時間は閉まっているのだ。そのせいか、人通りは駅前なのに少なかった。

(続く)
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