終ノ文(ツイノフミ)

文字数 727文字

 ガチャガチャ ガチャ

 カチッ ジー
  
 これ、回ってるかしら。
あ、録音になってるわね。
ん、んんっ! あーあー

 和喜へ
 こんにちは。和喜とあって丁度一週間が経つね。あれから事務所に戻って、局長に何もありませんでしたって報告したら、案の定怒られちゃった。あはは。お前は何しに行ったんだーって顔を真っ赤にしてさ。あたしは平謝りで乗り切ったけど、まぁ仕方ないね。怒られたらその分は仕事で返すしかないし、これからももっと頑張るつもり。
 それと、あのお祭りで色々話してくれてありがとう。最初、噂だからなんて思っていたら本当に和喜がいたんだもん。もっと心の準備をしっかりしてくればよかった。相変わらず和喜ってば優しいからさ、嬉しくて恥ずかしくてなんだか感情がごちゃごちゃして……あぁ、なんていえばいいかわかならないや。とにかく、少しの間だけどお話ができてとってもよかったよ。ありがと。あの時のできごとは絶対に忘れない。あの思い出はあたしにとって特別だから……ね。また和喜と会えるならそれまでにたくさん面白い話を用意しておくから、待っててね。

 実はね、雑木林の中を走ってるときに和喜との思いでがたくさん浮かんできたの。その中にあったお揃いのアクセサリーなんだけど。前は怖くて着けることができなかったんだけど、あれから着けるようになったんだ。ちょっとでも前に進みたくて……。
 あたし、前に進めているのかな。自分ではわからないけど、和喜はどう思ってくれるかな。それもまた今度聞かせて欲しいな。

 それと……って、え!! やばっ、もうこんな時間!
これから取材に行く約束してたんだった!
ごめん、和喜。また今度ね!
行ってきます!!

 ガチャッ
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