むかしばなし その4

文字数 631文字

 男が魔の山を登っていくと、急にあたりが暗くなりました。先ほどまで晴天であったのにも関わらず、夜よりも漆黒の闇が辺りに広がっています。

 どうしたことだろうか? 男は首を傾げました。すると、目の前に炎が現れました。それは、火であるにも関わらず、まったく光も暖かさも感じない不思議がものでした。

「我は、この山に住む悪魔だ」炎から声が聞こえました。「お前は、どうして、ここにいる? もしかして、我を倒しに来たのか? それならば、愚かなことだ。この世で我ほど強い者は、どこにもいないのだ。我が右手を振れば病が街を覆うぞ。左手を振れば、嵐や地震が国を襲うぞ」

「いいえ、私はあなたを倒しにきたのではありません。あなたに教えを請いに来たのです。世界最強であるあなたを探していたのです」

「面白い男だ。数千年の中、お前のような男に会ったことがない」炎はより大きくなりました。「ならば、殺さないでおいてやろう。我の下僕として着いてくるが良い。我の強さを見せてやろうぞ」

 そう云うと、炎は山を下ります。男はその後ろを着いていきました。

 炎が街に来ると人々は逃げまどいます。王様の軍隊ですらも。誰も炎と対峙しようとしませんでした。炎の左手に触れるものは病で倒れました。右手で起こした嵐により家々は壊されていきます。何もかもが、炎の――悪魔の思いのままなのです。

「ああ、やっと、私は世界最強の人を見つけたのだな」

 男は悪魔の姿を見て、感慨深く思ったのです。
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登場人物紹介

『王様

自分が世界最強の格闘技をやりたいためだけに

『物理セキュリティマネジメント研究会』を立ち上げた。

ちなみに一切、格闘技の経験はない。

格闘技知識は主に劇画や書籍。

空想的強くなりたいガール。

『カラテカ』

高校入学前に空手をやっていたけれどいろいろあってやめた。

自由な放課後女子高生ライフ!

と、思っていたら、格闘技経験がバレて王様に『セマネ研』に入れられた。

本編の語り部。

ちなみに何時も判定狙いなので試合展開は地味。

現実的強くなりたかったガール。

『ゲーマー』

王様の隣の席にすわっていたのが災いして『セマネ研』に入れられた。

基本、無口でゲームばかりしている。

実は数々のオンラインゲームで殺戮を繰り返し

『オーガ』と呼ばれている『達人』ゲーマー。

仮想的強いガール。

『聖女様』

王様が『人が足りない』と泣く振りをして連れてきた美しく淑やかな学園の人気者。

場に似つかわしくないようだけれどよく見ると毎週購入している雑誌は

男同士が熱く体をぶつけ合う(非BL)ものばかり…。

とある深夜番組はリアルタイム視聴を欠かせない。

最近昭和の強豪が鬼籍に入ることも多くちょっとメランコリー気味な

幻想的強さ大好きガール。

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