むかしばなし その3
文字数 641文字
「たしかにワシは世界最強であるぞ」
そう云うと、王様は、男を自分の兵隊としました。
なるほど、王様の軍隊はとても強いものでした。どんな敵もなぎ倒します。負けることはありませんでした。他の国々の人々は王様の軍隊を見るだけで、戦うことすらせずに、貢ぎ物を持ってくることさえありました。王様のどんな無理難題も、人々は従います。誰もが王様にひれ伏しました。
「ああ、やっと、私は世界最強の人を見つけたのだな」
男は誰よりも強い王様を見て思ったのです。
ところがです。王様の軍隊の進軍が止まりました。どんな強敵も止めることができなかったのにです。
「どうしたことでしょうか?」
男は王様に尋ねました。
「軍隊に疫病が流行ってしまったようだ」王様は震えながら、苦渋の顔をします。「ここは、いったん撤退するしかあるまい」
「撤退? 負けたということでしょうか?」
「そういうことではない。今は時期が悪いだけだ。ワシが人の世で恐れる者は何もない」
「あなたは、誰よりも強いのではなかったのですか? 何を恐れると云うのですか?」
「悪魔だ。疫病や災厄を撒き散らす悪魔。あの魔の山にいる、アイツだけはワシにはどうにもできない。人ではない悪魔だけはワシも恐れる」
その言葉を聞くと男は、一人震える王様に背を向けました。
「残念です。あなたは世界最強ではなかったのですね。私はその悪魔のところに行きます」
そう云うと、男は、悪魔のいる魔の山に向かっていきました。
そう云うと、王様は、男を自分の兵隊としました。
なるほど、王様の軍隊はとても強いものでした。どんな敵もなぎ倒します。負けることはありませんでした。他の国々の人々は王様の軍隊を見るだけで、戦うことすらせずに、貢ぎ物を持ってくることさえありました。王様のどんな無理難題も、人々は従います。誰もが王様にひれ伏しました。
「ああ、やっと、私は世界最強の人を見つけたのだな」
男は誰よりも強い王様を見て思ったのです。
ところがです。王様の軍隊の進軍が止まりました。どんな強敵も止めることができなかったのにです。
「どうしたことでしょうか?」
男は王様に尋ねました。
「軍隊に疫病が流行ってしまったようだ」王様は震えながら、苦渋の顔をします。「ここは、いったん撤退するしかあるまい」
「撤退? 負けたということでしょうか?」
「そういうことではない。今は時期が悪いだけだ。ワシが人の世で恐れる者は何もない」
「あなたは、誰よりも強いのではなかったのですか? 何を恐れると云うのですか?」
「悪魔だ。疫病や災厄を撒き散らす悪魔。あの魔の山にいる、アイツだけはワシにはどうにもできない。人ではない悪魔だけはワシも恐れる」
その言葉を聞くと男は、一人震える王様に背を向けました。
「残念です。あなたは世界最強ではなかったのですね。私はその悪魔のところに行きます」
そう云うと、男は、悪魔のいる魔の山に向かっていきました。