第10話

文字数 14,697文字

 会長直々の依頼により、大阪府内の某所から堺市南区片蔵に居を構えたとある人物までアタッシュケースを無事に届けるという仕事を引き受けた俺は、今路地裏で8名の襲撃者に囲まれている。
形状は独特だが鋭利さと切れ味だけは存分に伝わってくるナイフを身構え、統制の取れたフォーメーションを維持したまま、じりじりと俺ににじり寄って来る一団。
一見して素人ではなく、その道のプロだとわかるいずれも手練れだ。
俺を取り囲んで徐々にその間合いを詰めて来る、その度に自由を奪われた、かごの中の鳥と呼ぶにふさわしい危機的状況。
1度に複数の襲撃者を相手取ること、それだけなら決して難しい状況ではなかった。
だがこと現状に限って言えば、自身の身を守ること以上にアタッシュケースを奪われることなく死守する必要があるため、困難の度合いは段違いに上がると言えた。
「・・・・・・・・。」
俺は襲撃者のどんなつぶさな所作からも目を逸らすことなく、牽制しながら最低限の間合いを保つ沈黙の中にいた。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
複数の視線が自身に注がれる最中においても、俺の心は折れることはなく突破口の機会を窺い続ける。
だが襲撃者たちの目的はアタッシュケースの奪取と共に、俺を亡き者にすることだ。
優先度から考えれば、俺さえ倒してしまえばアタッシュケースを奪い取ることなど造作もない。
俺から先に動きを取れば、襲撃者たちに付け入るスキを与えかねない、伯仲する実力者同士の命がけのやり取りともなると、なおのこと命取りになってしまう。
唇を噛んで機を窺っている俺だったが、そんな中先に動いたのは襲撃者たちだった。
奴らは数の利を生かして隊列を組んでいた先頭の連中から、ナイフを振りかざして襲いかかってきた。
そうなると前後を挟まれてはさすがに分が悪い、俺は背後に回り込まれ分散されることを阻止すべく、塀際まで駆けて行き壁を背にして身構えた。
そのままアタッシュケースを飲食店の空調設備の室外機の上に置き、スーツのジャケットをまさぐっては素早く銃を抜いて立て続けに撃つ。
ターゲットが飛び道具を使用してきたことに、刃物で襲いかかろうとしていた一団はわずかにひるみ、陣形にほころびが生じた。
俺はその瞬間を待っていた、ギラリと獣の目つきと化した左目で照準を定め、1人・2人・3人と襲撃者たちの太ももを次々と撃ち抜いていった。
銃撃によって太ももを弾が貫通した男たちは、流血を伴って苦鳴をもらして崩れ落ち動きを封じられた。
残る襲撃者は5名、未だ数的な不利によるハンデは続くが、勝率も増したことは確かだ。
そのわずかな希望の増加こそ、危機的状況では何よりの発奮材料となることを俺は知っていた。
「おろっ!?」
そんな淡い希望が膨らんで油断してしまったのか、足がよろけた俺は体勢を崩してしまう。
これ見よがしに好機と捉えた一団による接近で、俺に向けた凶刃が煌めいて一斉に振り下ろされようとしていた。
だが体勢を崩したはずの俺は前傾の勢いを利用して前転した後、間髪入れずに銃撃をお見舞いしたのだった。
放たれた2発の銃弾の行方は、狙い澄ましたナイフの刃で真っ二つに共に切り裂かれたが、しかして分散した弾道の威力は衰えることなく、俺に近付いて来ていた4名の襲撃者たちの肩や腕、手の甲に次々と命中していった。
何が起こったのか理解が追い付かない襲撃者たちだったが、自分たちの身を襲う痛みと出血は紛れもない事実なのだと遅れて認識して、そのダメージに次々と崩れ落ちていった。
そう、俺が足をよろめかせたのは油断でも何でもなく、数的不利の形勢を逆転させるためのフェイクだったのだ。
加えて俺に向けられていた奴らのナイフの刃先の角度を瞬時に計算に入れ、銃弾が切り裂かれるまでも織り込み済みで、見事に分散させた銃弾によって計算通りに襲撃者たちの身体に炸裂させてやったのさ。
いくら弾が切り裂かれて真っ二つになろうとも、その弾道が勢いを失って収束するよりも、相手の身体を撃ち抜いてダメージを与えることはできる、俺の腕と経験から導き出した至近距離ならではの戦法だ。
してやったりの俺はリボルバーに弾を込め直しながら、倒れた襲撃者たちの姿を目にして1つ息を吐いた。
 直前の4名の撃破によって残された襲撃者は1人のみ、もはや確率は五分と五分。
身体の各所を撃たれた男たちは皆路地裏の地面に倒れ伏し、襲い来る痛みと己が敗北感に苦しみながら包まれている。
残る1人の襲撃者は、さすがにここまでの自分たちの不利になる状況は想定していなかったらしく、焦りの色を隠せずにいた。
が、男は突然狂笑を浮かべたかと思うと、大声で笑い始めた。
「なっはっはっはっはっはっはっはーーー!!!」
自分たちの敗北を悟ったのか、狂気に満ちた破願した顔から笑いが止まることはない。
「はーはっはっはっはっは!!ぷーくすくすくす!!!ぶひっ!!」
いや、あのちょっと、もしもし?笑い過ぎて豚鼻が鳴ってますけど・・・。
そしていよいよ降伏でもしようと言うのか、手にしていたナイフを地面に向けて放り投げてしまった。
だが次の瞬間、その推測が大きく間違っていたことを思い知ることになった。
油断を作ることはせず男の挙動を見やっていた俺は、ぎょっとしてしまった。
何故ならば狂乱の笑いを絶やさない男は、バズーカを取り出してみせ構えてきたのだから。
おいーーーー!!一体どこにそんなもの隠し持っていやがった!?
俺の拳銃でも、さすがにバズーカ相手では歯が立ちそうもない。
一軒家なら軽く3軒は吹き飛ばしてしまうだろう威力のバズーカ、ここまでなのか・・・・?
男はバズーカを構えて身動きの取れない俺に、勝利を確信した表情を見せた。
「アイ デッド!!」
うん?いやいやいや、それだと「私死んだ」になっちゃいますけど!!
「・・・・・・・・。」
イングリッシュで決め台詞を吐いたつもりが、痛恨の言い間違いを犯し、自分の英語力の無さにバズーカを構えたまま男の顔が真っ赤なリンゴのように変色していった。
俺は国際化が著しい我が国の未来に対して、一抹の不安を感じずにはいられなかったが、引き続き大ピンチなことには変わりなかった。
「・・・・・・・・・・。」
「ふっふっふっふっふっふっふ・・・・・!!」
どうすればこの状況を覆せる?
起死回生への最適解を導き出すために時間を稼ぎたいが、そうもいかないだろう。
「・・・・・・・・・・。」

 が、ピンチの後にはチャンスがあった。
「チリンチリン♪」
両者の間に立ち込める緊張をぶち壊すように、自転車のベルの音が鳴り近付いてくる。
「おーーーい、斗毛元-----!!」
中年の男性がママチャリに跨りつつ、猛スピードでこちらに近付いて来る。
星の形に模られたサングラスを着用し、アロハシャツに身を包んだお気楽なリゾート気分の風体の男が、手を振りながら俺の名を呼んでいる。
「シュウさん!?」
尋常ではない速度で近付いて来たママチャリが、俺の目の前に滑り込みながら停車した。
「おまっとさん!!」
大ピンチに助太刀にやって来たヒーローの風格を漂わせて、俺の待ち合わせの相手シュウさんが登場した。
ていうか、何でママチャリ!?
「ちょっと遅れたけど勘弁してくれ!!その代わりに、頼まれた物はばっちり揃えてきたぜぃ!!」
「うん、ありがとう・・・・・。」
ていうか、何でママチャリ!?
「おやおや~斗毛元や~、もしかすると大ピンチでござるな~!?」
「・・・見ての通りだ・・・・。」
「しからば、可及的速やかにこの場を離脱するでござる!!」
バズーカを構えたままポカーンとしている襲撃者の男を尻目に、シュウさんは俺に向けて防毒マスクとゴーグルと耳栓を手渡してきた。
俺は渡されるまま受け取ると、手慣れた様子で防毒マスクとゴーグルと耳栓を装着しているシュウさんに倣って、とりあえず装着してみた。
続けて自転車のサドルから降りたシュウさんは、大きな四角いジュラルミン製の箱が縛り付けられている後部の荷物置き場のかすかな隙間に器用に腰を下ろして、俺に指示を出してきた。
「運転よろしく!!」
「お・・・おう・・・・。」
これまた言われるままにシュウさんに代わってサドルに座った俺は、ママチャリをこぐために脚に力を加えていく。
「準備オケ?」
「OKだ。」
「よーし、レッツゴー!!」
そう吠えたシュウさんは、ズボンのポケットから何やら球体状の物体を取り出して、襲撃者に向けて放り投げていった。
襲撃者の足元近くに落下したその物体は、地面に接地した瞬間耳をつんざく騒音とものすごい量の煙を吐き出していった。
そこまで目にしてすべてを理解した、あれは催涙弾だ。
事前に防毒マスクとゴーグルと耳栓で目や口や耳を守っていた俺たちとは異なり、襲撃者の男はもろに放出され続ける催涙ガスによって視界は遮断され、聴覚や呼吸器系統に甚大なる被害を被っていた。
激しく咳き込み、涙が止まらないであろう涙腺に、成す術がなさそうであった。
俺は降って湧いた危機的状況からの脱出の好機を見逃すまいと、全力でシュウさんを後ろに乗せたママチャリをこぎ続けた。
路地裏に襲撃者を置き去りにして、国道をしばらくの間疾走していくのだった。

 国道を走り続けた俺たちは、追っ手の危険性を鑑みて走行していたが、ひとまず危機を回避できた安心感を得られたところで、人通りの少なそうな手ごろな場所でママチャリを停車させた。
そして草むらへとママチャリを押しながら移動して、物陰に隠れるようにしてしばしの休息を取ることにした。
シュウさんが後部に備え付けたジュラルミンのケースから、冷えた乳酸菌飲料のペットボトルを俺に渡してくる。
うん、ありがとう。
でもさ、あれだけ全力でママチャリこいできたわけだしさ、ここはミネラルウォーターとかスポーツドリンクでいいと思うのよね。
と思いつつも、極限の緊張状態の中での死闘とママチャリをこいだ有酸素運動によって、俺の喉はからからに乾いていた。
俺はペットボトルのキャップを外し、一気に飲み干していく。
甘めの比較的まとわりついてくる感触が喉を通り抜け、食道を通って胃に流し込まれていった。
「・・・甘いな・・・・。」
端的かつ少しばかりの非難の意を込めて感想を呟いた俺に、シュウさんはにかっと爽やかに微笑んで、自分はちゃっかりスポーツドリンクを飲んでいた。
「カルシウム、カルシウムでござるよ!!」
確かに戦いを終えて疲弊した身体には、速やかな栄養分の補給が必須なことは戦場における鉄則だ、でも甘い・・・・、口内や食道に分厚い幕が張りそうな感覚を覚えているぜ。
俺は飲み干してもなお存在感を主張してやまない甘ったるさをごまかすため、タバコに火を着けて紫煙をくゆらせる。
特有の苦みを含んだ煙の体内への侵入で、また1つ死線を超えたことを実感しながら生き延びたことに精神が弛緩されていく。
「落ち着けたようで何よりでござる!!」
両目を五芒星にくり抜かれた奇妙な形のサングラスの下にある、シュウさんの詳しい表情はうかがい知れないが、俺の依頼に応えるべく持ち運んできたブツの数々を確認させてきた。
ショットガンにマシンガンにライフルとよりどりみどり、繰り返しておくがここは日本であり、職務質問を受けた日には1発でブタ箱行きなのは言うまでもない。
「助かったぜ、シュウさん。」
「何、いいってことでござるよ!!それよりもここから先の道すがら、1人で大丈夫でござるか?」
「問題ない。これは俺の仕事だからな。」
「うむ、さすがでござるな!!では斗毛元よ、幸運を祈る!!」
模範的な敬礼のポーズを取ったシュウさんは、アロハシャツをはためかせながら帰っていった。
去り行く派手な装いのシュウさんの後ろ姿に感謝と敬意を込めつつ、闘志も新たに俺は見送っていた。

 さて、目的地まで半分は移動できた。
シュウさんのおかげで装備を補給できたことは大きく、俺の戦力は充実し立て直しは完了だ。
ここからはまた、孤独で危険なロンリーハートな道のりとなることだろう。
シュウさんが乗り捨てていったママチャリが、この先の俺の相棒となる。
おっと、ポリシーであるスーツ姿で跨るのはママチャリという、アンバランスさには触れないでおくれよ、火傷しちまうぜ!!
だが、移動手段に自転車を用意してくるあたりシュウさんはさすがだと言える。
移動速度にはやや難があるものの、小回りが多分に利く自転車は襲い来る襲撃者たちを振り払うには有効だからだ。
まあ欲を言えば、より機動性に優れたマウンテンバイクやレース仕様のロードバイクが望ましかったのだが・・・。
ダンディーでハードボイルドさが最大の売りの俺がママチャリをこいで移動する図というのは、まるで仕事で疲れて帰ってきたのに一休みすることも許されず、鬼嫁によってパシリという名の買い物に強制的に行かされているみたいに映りかねない。
通行人にそんな風に見られたらどうしよう、嫌だわ~勘弁してほしいわぁ~。
 というものの、後部にシュウさんから調達した武器一式を収納したジュラルミンケース、前かごにミッションとなるアタッシュケースを収めて、俺はママチャリをこぎ出したのだった。
もう間もなく堺市内へ入る、走るべきルートは国道や自動車が行き交う大通りなどを外して、なるべく人通りが少ない抜け道や獣道の方を積極的に選択するべきだ。
そんな俺の思いとは裏腹に、走り始めてすぐに赤信号に引っ掛かってしまった。
いくら迅速さを求められる仕事とはいえ、交通法規に抵触するわけにもいかず、はやる気持ちを堪えながら信号が変わるのを待っていた。
横断歩道で赤信号を待つ俺の後ろ姿は、さながら銀行マンのようである。
そのような後ろ姿に惹かれたのではないだろうが、2人組の男女が俺に話しかけてきた。
どこにでもいそうなカジュアルな外出着に身を包んだ夫婦か恋人同士だろうか、男の方が俺に向かってスマホの画面を見せながら尋ねてくる。
「すみません、ちょっと道を教えてほしいんですが・・・・」
俺は今それどころではない、間に合ってますと無視したいのはやまやまだが、町内を営業に走り回っている銀行マンと捉えた感が存分にある男は怯みそうにない。
「・・・・どこへ行きたいんだ・・・・?」
画面上に表示された地図を仕方なく覗き込んだ俺だが、正直なところこの辺りに住んでいるわけではないので込み入った場所を尋ねられても答えられない、その場合は適当なことを言ってこの場をしのぐか、近くのコンビニにでも丸投げしよう。
などと思っている俺の背後から、農作業に使うにはいささか物々しい斧を振り上げる相方の女が迫っていた。
首元を狙い澄ました凶刃が迫るその刹那、俺は左手でしっかりと女の手を掴んで阻止した。
そこから振りほどくようにして女の手から斧を奪うと、柄の部分で男女それぞれの急所に刺突をお見舞いしてやった。
急所に食らった一撃に薄れゆく意識の中、「何故?」と男が口にしたのを見下ろして俺は告げる。
「お前らの殺意はまったく隠せてはいない。話しかけてきた時からバレバレだったぜ。」
男は俺の言葉を最後まで聞くことなく意識を失い、女と共にアスファルトに伏した。
同時に他の通行人たちが倒れている男女に気付いて集まりだす気配がある。
長居は無用だ、俺は青に変わっていた信号を見るより早く、横断歩道を渡って離脱して先を急いでいった。

 商店街に住宅街、人が集まりそうな場所に差し掛かる度、俺は人通りのない道を選択してママチャリを走らせる。
筋持久力・耐久力・膨大な基礎体力を必要とする長距離移動に、スーツ姿でママチャリはつくづく不適切だと自覚しながらも、ネクタイを緩めもせず己の信じるハードボイルドを貫いていく。
すでに放出された汗によってワイシャツは肌に張り付き不快感を伴い、ペダルをこぎ続ける革靴の中身にはいくつもの靴擦れやタコができていても何ら不思議はなかった。
 今走っている住宅街の裏道を抜ければ大きな公園があり、さらにその先はやや遠回りにはなるが造成地となっている。
地図で確認していたいくつかの候補となるルートから、頭の中で取捨選択をしている折、民家の庭先の前を通過しかけた俺に次の刺客が襲いかかってきた。
庭に植えられた植物にホースで水を撒こうとしていた老人男性が、ホースの先端を俺に向けだしたのだ。
その先端からは水ではなく、オレンジ色をした液体が勢い良く放たれてきた。
すんでのところでハンドルを切って回避した俺に向かい、この老人は苦々しく舌打ちをしている。
「ちっ、みかんの皮の汁による目つぶし作戦失敗か!!」
何その地味な嫌がらせみたいな攻撃方法!!
陰湿すぎる手段に打って出てきた襲撃者に、俺は慈悲もなく後部のジュラルミンケースからショットガンを取り出しては、素早く引き金を引いて老人の肩に鉛の弾を撃ち込んでやった。
老人襲撃者は撃たれた衝撃と反動で花壇に倒れ込み、その顔面にホースから流れ続けているみかんの皮の汁を存分に浴びて溺れそうになっている。
狙撃された右肩の痛みに加えて、本来俺に浴びせ辛酸をなめさせるはずだった酸味に特化した液体を、目に鼻に口にと流し込まれて溺死しそうになっていた。
「痛いよーー!!でもそれよりも酸っぱい!!酸っぱ・・・ブクブクブクブク・・・!!」
そのもがき苦しむ姿を見ているこっちの表情までも、梅干を食べている時をイメージさせられたように酸っぱいものになってしまいそうだった。
肩を撃ち抜かれた激痛と同等かそれ以上の、視覚・聴覚・嗅覚・味覚に襲いかかってくる途方もない酸味と傷口にしみてたまらない痛みから、この老人襲撃者はしばらく逃れることはできないだろう。
俺は陰湿な嫌がらせじみた凶行に打って出てきた襲撃者を退けて、ママチャリのペダルをこぎ出していった。

 予定通り大きな公園内に入った俺は、湖のスワンボートから銃撃を企てた一団を難なくマシンガンで返り討ちにしてみせた。
昼下がりの公園の湖で、スワンボートが飛沫を上げながら転覆し沈み行く光景に目を奪われるしかない一般人。
彼らにとっては一見単なる水難事故にしか見えない目の前の現実の裏で、互いに命を懸けたやり取りが行われているとは、きっと考えも及ばない世界の物語なのだろう。
広大で見晴らしが良い公園内では、あらゆる方向からの激しい襲撃がありうると踏んでいた俺だったが、襲撃者たちもターゲットの俺に対して攻撃の決め手に若干の手詰まりを感じているのか、思っていたほどの規模とスケールではなかったことは不幸中の幸いと言える。
 
 公園を思いのほかスムーズに突破できた俺は、造成地へと入っていた。
むき出しの砂が作り出した山々にタイヤを取られそうになる砂利が敷き詰められた路面、不規則な石の大きさにママチャリをこぐ俺の身体は激しく揺れては上下動を繰り返していた。
入り口付近の悪路を抜けた先には、映画のスタントシーンにはうってつけの開けたロケーションが姿を見せる。
サーキットコースにしても過酷な起伏に富んだ人工的な土と砂の造形路、掘削作業に駆り出される様々な重機が轟音を立てることなく静かに鎮座しているのはかえって不気味に感じられた。
おいおい、こっちはママチャリなんだぜ。
自分で選択しておいて何だが、ここを走破することは非常に厳しい。
がしかし、ぶー垂れていても始まらない。
俺はペダルをこぐ足を一瞬たりとも止めることなく、走り続けるしかなかった。
こんな過酷な悪路では、1度でもママチャリを止めてしまったら最後、再びこぎ出すのに筋力の限界値突破を要するほどの負荷を受けるのは避けられないだろうからだ。
目的地がかなり近付いて来たとは言え、先が見えない襲撃者たちとの戦いを見据えると、温存できる体力はあればあるほどいいに決まっていた。
「ドカーーーーン!!!!」
だがそのような俺の思いを台無しにするように、今通過したばかりの背後の地面が激しい爆発音を上げて爆発し土煙を上げた。
危ねぇーーーー!!今のはマジに危なかった!!
「・・・・爆弾か・・・・・!!」
どうやら遠隔操作による爆弾が爆発したようだ。
敵もまだ諦めていない、俺を殺す気はまだまだ旺盛のようであった。
ママチャリは決して止めることなく、ひたすらハンドルを切り続けて俺は何度もS字を描かせママチャリを走行させた。
俺が身体を傾けママチャリでS字を切る度に、すぐ近くの地面が次々に爆ぜ爆音を轟かせていく。
土煙が盛大に撒き上げられる度に視界は悪化して、口の中には砂塵が吸い込まれてきてじゃりじゃりと不愉快な感触が増すばかりだ。
とはいえこうして爆破を回避しながら走行していると、昔まだ俺が小さかった頃に熱中した特撮ヒーローのオープニングシーンのように感じられてきて、頬が緩みそうになる俺ってば永遠の少年なのだろうか、ちょいノスタルジー。
だが忘れてはならない、テレビの特撮ヒーローが乗っていたのはエンジンを動力源としたオートバイで、俺が乗っているのは人力にのみ頼ったママチャリであるということを・・・・。
 俺の華麗なるS字走行で、等間隔に仕掛けられていた爆弾地獄からはようやく脱出できたのか、爆破はひとまず収まった。
口の中に溜まっていた砂やら土やらをぺっと吐き出して、少しは口内の不快感が和らぎはしたが、叶うなら今すぐ水道を使ってうがいをしたい気分は消えない。
目の前に広がる広大な造成地にはオアシスはなさそうだった。
過酷さの渦中にいることに溜息を吐こうとしたら、ママチャリが突然上昇して大ジャンプ!!
何てことはない、崖のようになっていた地面を蹴り上げ盛大にウイリーしてしまっただけだった。
怖えぇぇぇぇーーーー!!今のは結構本気でしっかりがっちり、俺びっくりしちゃったぞ!!
気を抜いてはいかん、仕事を成し遂げるまでは一瞬たりとも気を抜いてはいけないことを、再確認させられた天の啓示だったのかな?
 その予感はすぐに現実のものへとなった。
爆弾地域から抜けた俺が差し掛かった地点で、物陰に隠れた襲撃者たちからの銃弾が俺に向けられてあちこちから飛び交ってきたのだから。
俺は猛スピードでママチャリを走らせ、土嚢が積み上げられた掘っ立て小屋の前に滑り込んだ。
土嚢を盾にして周囲を見やると、砂利が積み上げられた山々からライフルの銃口が覗いていた。
飛び交ってきた銃弾の嵐から推察すると、少なく見積もっても襲撃者の数は10名以上、いずれも砂利の山頂から身を低くした体勢で俺に狙いを定めているようであった。
目には目を、ライフルにはライフルを。
逃げ込んだ際に横転していたママチャリ後部のジュラルミンケースから、分解されたライフルを取り出して急ぎ組み立てては応戦することにした。
とりあえず片が付くまではママチャリはここに隠しておくとして、アタッシュケースが問題だ。
さすがに放置しておくわけにもいくまい、やや戦いにくくはなるが持ち運んで戦うしかないだろう。
そのため俺はスーツの上下にあつらえられたポケットの至る所に、予備の弾を入れれるだけ入れて戦闘態勢を整える、お構いなしに降り注いでいる銃弾の雨あられの下で。
乱射されていた襲撃者たちの銃撃が止まったタイミングを見計らい、俺はその場からアタッシュケースを右手に持って走り出した。
造成地の敷地内を縦横無尽に走っては、身を潜められそうな場所を目にするごとに滑り込んで狙撃して応戦。
俺が盾にできる場所を移るのに比例して、1人また1人と襲撃者の身体を撃ち抜いていった。
砂利の山の斜面を滑り落ちる者、すぐ近くの資材を撃ち崩されて生き埋めにされる者。
銃撃戦が始まってからしばらくして、造成地には俺に撃たれて負傷した襲撃者の横たわる残骸が増えていっていた。
あれだけ多方向から降り注いでいた銃弾も、もう残された方角に限りが見えてきている。
ここは一気に勝負を付けよう、俺はそう思い立ち策を巡らせていると、数メートル先にボクシングのサンドバックが転がっているではないか。
この場で働いている職員の私物なのだろうか、不可解で場違いな物体を目にした俺は名案を思い付いた。
 長期戦に発展したこの度の銃撃戦も決着の時は近く、残る襲撃者は3名、奴らの潜伏している位置にもおおよその見当がついている。
多勢に無勢の形勢で俺を蹂躙していた当初とは戦況は大きく変わり、残された襲撃者たちは慎重な攻撃を取らざるを得ない。
だが慎重であるということは、裏を返せば一瞬の好機に懸けているということ。
俺は最後の攻勢に出る前に、腰をかがめるように小さくなって身を潜めている物陰で、タバコをふかし精神を集中させ研ぎ澄ませていた。
タバコ葉がどんどん灰へと変貌を遂げ、呼吸もすっかり整った俺は携帯灰皿に押し付け懐にしまった。
「3・2・1・・・・・!!」
自分の心音と重ね合わせたカウントダウンを終えた俺は、腕の筋力を総動員してサンドバックを造成地の中央に投げ捨てた。
砂利で形成された各山の見晴らしの良い位置に身を潜めていた残された3名の襲撃者たちにとって、それは飛んで火にいる何とやらと呼ぶべき間抜けなターゲットがしびれを切らして絶好の狙撃ポイントに姿を現した、千載一遇のチャンスに思えたことだろう。
大胆に3名共これ見よがしに身を乗り出して銃を構えた、が、それは俺の計画が成功したことを裏付ける罠に飛び込んだ獲物だと自ら認めた愚行だった。
造成地の中央でサンドバックが蜂の巣になっていく傍らで、俺は襲撃者3名をすべて1発ずつで仕留めたのだから。
硝煙が立ち込めるまだ熱っぽいライフルの銃口と同じ線上に重なっていた俺の視線は、襲撃者たちの全滅を確かに見届けていた。
その余韻に浸ることもなく俺は立ち上がると、身代わりにありったけの銃弾を浴びてくれたサンドバックの元へ近付いていく。
サンドバックには俺のスーツのジャケットを着せていた、襲撃者たちのプロゆえの動体視力と反射神経の高さを逆手に取った作戦は、見事に成功した。
ただご自慢の俺のジャケットは穴だらけに変わり果てはしたが・・・・・。
俺はサンドバックからジャケットを脱がせ、鎮魂の意味を込めて黙とうを捧げたのだった。

 今回の道中で最も激しい戦闘となった造成地も何とか後にした俺は、ママチャリを走らせつつ確実に疲労と消耗に襲われているのを自覚していた。
だが数多の死闘を潜り抜けた甲斐あって、いよいよ目的地の住居まで数十メートルまで近付いていた。
辺りはすっかり暗くなり、夜の帳がおりてずいぶんと経っていた。
殺しを生業としている連中が暗躍するにはもってこいの時間帯だ。
が言うまでもなく、緊張の糸も警戒心も解いてはいない俺に死角はなかった。
妨害を企てた未来久留巣が雇った襲撃者たちも、さすがにもう打ち止めだと思いたいのだが、最後の最後まで油断は禁物だぜ。

 そしてついについに長く険しかった死闘の旅路に、終止符が打たれる瞬間が訪れた。
会長に指定されたアタッシュケースを届けるべき相手、その人物の自宅の前に俺はたどり着くことができた。
堺市南区片蔵の一角に佇んでいる自宅は、「鳥谷部」と表札が掲げられており、超の付くほどの大豪邸だった。
和風建築の圧倒的な外観が強過ぎず嫌みのない照明に照らされていて、俺は息を飲みそうになったが、臆することなくインターホンを鳴らして住人を呼び出す。
すぐにこの家のお手伝いと思われる中年のエプロン姿の女性が出て来て、俺は主人を呼んでくれるよう頼んだ。
パタパタと女性の後ろ姿が室内に戻るより早く、大慌てといった様子で主人が下駄を鳴らして出て来た。
来客のことをお手伝いさんは伝えようとするが、主人は「わかっているから、お前は下がりなさい!!」と引っ込めさせ、その姿が消えるのを確認すると猛ダッシュで、玄関先に佇む俺の元へ駆け寄ってきた。
立派な住まいに引けを取らない和服姿の主人は、経済界の大物か何かだろうか?
しかしその挙動には貫禄に見合った落ち着きはなく、食い気味で俺に近付いて来たのは、よっぽど届けられたアタッシュケースの中身が重要な物なのか、急を要するほどに欲しているというのか?
「会長に依頼したのはあんたか?」
「いかにもそうじゃ、で、ブツは!?」
俺は左手を掲げるように差し出して、アタッシュケースを視界に入れさせた。
「ここにある。」
「おう!これかこれか!!いやあー、待ちわびたぞ!!」
「念のため、中身を確認してくれ。」
そう告げられると、俺の手からアタッシュケースを鼻息荒く奪い取った主人は、興奮に震える手で閉じられていたケースを開いた。
会長の言いつけによってケースの中身が何なのかは俺も知らなかったため、興味を惹かれて覗き込んでみた。
「うむ、間違いない!!よくやってくれた!!」
アタッシュケース内にしっかりと厳重に固定されていた、薄く四角い物体を取り出しては歓喜に浸る主人の姿がちらつく。
そんな喜色満面大満足の主人・鳥谷部が手にしていたものとは・・・・・、ロリ系のアダルトなDVDのパッケージだった。
えっ・・・ちょっと待ってくださいよ・・・・・・。
念願のDVDを手に入れて肌つやの血色が良くなっている感のある鳥谷部とは対照的に、俺は言葉を失い血の気がみるみる引いていく。
「・・・・おい、本当にそれが依頼したブツなのか・・・・・?」
冷めた声で問いかけた俺に、鳥谷部はもうたまらんといった具合で答えてくる。
「そうそう!!これが欲しかったのよ!!」
「エロDVDをか?」
「ただのDVDじゃあございません!!日本では手に入らない、わざわざ無理言って海外から直輸入した代物なのじゃあ!!」
「ロリっ子のDVDがか?」
「うら若き乙女はよいものじゃ!!」
「一応言っておくが、幼く見えても出演している女優は18歳以上だぞ。」
「構わん構わん!!それはそれ、これはこれじゃ!!」
「だいたいエロDVDなら、ネットを使えばいくらでも購入できるのではないのか?」
「そうやねんけどなぁ・・・・。実はわし、ネット環境はすべて妻や子供たちの管理下に置かれててな、自由にネットショッピングもできないのじゃ!!」
「部下に頼めば?」
「え~自分の性癖を他人に知られるのって恥ずかしいやん!!」
「じゃあネットではなく、直接店舗で購入すればよかろう?」
「え~自分の性癖を他人に知られるのって恥ずかしいやん!!それは店員でもまた同様じゃ!!わしのような良い年をした男がロリ系のDVDを買おうなんて、一体どんな顔してレジに持っていけばいいと言うのじゃ!!そんなん公開処刑やんか!!」
「・・・・・・・・・。」
 今日という1日を、俺はどのように脳内処理すればいいのだろうか?
ロリ系のエロDVDのパッケージに豪邸の玄関先で頬擦りしている鳥谷部と、1歩間違えれば何度も命を落としていた死闘の数々を何とか潜り抜け、スーツはボロボロ、体中に細かな負傷を追い、筋肉は激痛を伴い骨は軋み悲鳴を上げている俺。
身も心もくたくたに疲れ果てた俺が成し遂げた仕事が、エロDVD1枚をはるばる運搬することだったなんて・・・・・。
世の中には知らない方が良いことはたくさんある、今回の俺の仕事もそれに分類されるだろう。
だけどさ、知っちゃった俺はどうすればいいと言うのだ?
ロリコン趣味の親父のために、俺は戦い続け走り続けてきたのならば、その仕事を阻止せんと俺に挑み倒れていった襲撃者たちも浮かばれないだろうよ。
敵対する立場でありながら、未来久留巣によって雇われ動員された襲撃者たちに少なからずの同情の念を禁じ得ない。
と同時に、今回の仕事を完遂させたことによる、俺が手にする報酬は金額にして10万円弱っていう目を逸らせない事実・・・・・。
いくら金では動かんハードボイルドな俺といっても、費用対効果悪過ぎやしませんか!?
死闘の最中は一種の興奮状態だった俺は今、極めて頭の中は明瞭にスッキリしていて冷静そのものだが、それゆえに受け入れ難い依頼の結末と目の前の現実の数々がやるせなさと切なさと、鳥谷部憎しの怒りの感情を増幅・増大させてきてたまらなくなってきた。
そして俺の込み上げてくる異種多様な感情を爆発させるように、鳥谷部がこうのたまった。
「あれ、まだいたの?わし早くDVDを鑑賞したいから、用が済んだら早く帰ってくれたまえ。」
その一言に俺は全身の痛みも疲れも何もかもを忘れ、俊敏かつ野生の動きで鳥谷部からDVDのパッケージを奪い取ると、シュリンクを開封してパッケージを開き、中身のディスクを左手に掴んだ。
「お・・おい・・・、な・・何をするつもりじゃ・・・・!?」
「こうしてやるのさ!!」
俺はディスクを円盤投げの要領でたっぷりと回転を利用した助走と勢いを付けてから、夜空に向かって雄叫びを上げながら力の限り放り投げ去った。
「うおおおおぉぉぉぉーーーしゃああぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」
堺市南区片蔵の上空、夜空の中に今宵1つの新たな星が生まれたのだった。

 
 約束通り、道中での襲撃者たちとの死闘の後始末は、会長並びに知り合いの上松瀬警部が俺の関与した痕跡を含めて、上手く処理してくれた。
怒りのあまり依頼品を無き物にしてしまった鳥谷部には、後日エロDVDを10枚ほど俺が郵送して丸く収めた。
もっとも10枚のDVDの内訳は、ロリ系5枚に熟女系5枚をセレクトしてやったが、会長を通じてこれといった抗議が今のところないことから、鳥谷部の性癖の拡大を図ってしまったのかしら。
 そして俺の運搬任務を妨害してきた未来久留巣は、DVDが鳥谷部の手に渡ることよりも、運搬に関わった俺を抹殺することの方が本来の目的だったようだ。
あの日以降、鳥谷部の周囲に未来久留巣を中心とした影が存在する気配が見えないことが、何よりの証明になっている。

 ただその代わりに別の事柄が降って湧いて来て頭を悩ませやがる、今回の仕事を妨害してきた未来久留巣の俺に対する執着心はどうかしている。
その道のプロの一団を雇ってまで、俺を殺そうとするのは何故なのか?
確かに奴と俺との間には、若かりし日の因縁はある。
だがそんなものは、小さな理髪店の中で巻き起こったよくある人間性の相違からくる軋轢に過ぎないではないか。
一体何がそこまで未来久留巣を突き動かし、莫大な労力と費用を費やしてまで俺を狙うのか?
理容師の業界で成功者となった未来久留巣。
その背後に存在する巨大な影と共に、現在の地位に君臨する未来久留巣への黒き疑念は尽きそうにない。
とにかく、今後も奴に対する警戒を怠ってはいけないことに変わりはなかった。


 ~一方、斗毛元が無事に仕事を果たした直後~
すべての照明が消された室内に、1人の男がスマホを手に肩を震わせている。
「・・・・そうか、失敗したのか。」
短い通話を終えて握りしめられたままのスマホに、一際強い力が込められ握り潰されてしまいそうだ。
すでに内部の精密部品のいくつかはとっくに破壊されているであろうスマホを、男は力一杯放り投げ目の前の鏡に打ち付けられ、スマホと鏡が粉々に砕け散っていった。
続けて刈り込んだ頭部に太く青い血管を浮かび上がらせながら、男は自身が着ていた着衣を上下揃って己が筋肉を膨張させることで、内側からびりびりに破ってしまった。
上半身・下半身の両方の筋肉が尋常ではないほどに隆起している、人間離れした体躯。
屋外から差し込んできた月明かりに照らされて、真っ暗だった室内に赤いパンツをはいた胸毛の凄まじい屈強な男が立ちはだかっている。
そして忌々しく苦々しげに呟いてみせた。
「斗毛元・・・・必ずお前を・・・・・殺す・・・・!!」






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登場人物紹介

斗毛元 40代の中年理容師

大阪府内某所にベルべレソンという理容室を営んでいる。

ハードボイルドに生きることを生業として、様々な客や困難に立ち向かっていく。

妻・・・30代後半、斗毛元の意向によりバーを経営しているが文句タラタラの恐妻。

シュウさん・・・武器や様々な器材を調達してくれる斗毛元の強い味方。

服部・・・斗毛元馴染の蕎麦屋の店主。

上松瀬警部・・・斗毛元とは旧知の間柄であり相棒の敏腕警部。極度の熟女好き。

米谷・・・ベルべレソンの常連客。常にしゃべり続けて絡んでくるウザい芸人顔負けの一般人。

未来久留巣・・・かつての斗毛元の上司であり、理容師業界に一大勢力を築いている。斗毛元抹殺を誓い、手段を選ばずに襲いかかってくる。

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