番外編 理想の野球についての考察

文字数 1,312文字

 さんざん苦言を呈してきた私だが、これでもわりと頻繁に野球中継を観ていた時期があった。
 もちろん好きで観ていたわけではなく、チャンネル権のある親や友人にしぶしぶ付き合ったり、見たい番組がないので仕方なくだらだら流していたりしていたものだった。

 そこでいつも感じていたのがテンポの悪さだった。

 ピッチャーがなかなか投球しなかったり、ファールが続いたり……。
 かつて試合が延長して、観たい番組が録れていなかったエピソードは、誰しもが経験あるだろう。
 私なりに解析した結果、テンポの遅い原因を二つに絞ることができた。

 1, ボール判定の多さ。
 2, 牽制球

 そこで提案したいのが、フォアボールと牽制球の廃止である。
 そもそもスリーストライク、フォアボール自体がおかしい。
 プロとしてボール球(だま)を投げるのはどうかと思う。プロだったらストライクで勝負しるべきではないか。もし一球でもボール判定がでたら、即、出塁させるくらいの覚悟で挑んで欲しい。
 それに牽制球は時間の無駄としか思えない。
 塁から少しでも足を離したら、即アウトにすれば、いちいち牽制しなくともよくなるだろう。
 たったこれだけ改善するだけで、相当スピーディーな展開になるのは間違いない。

 だが、一方でこんな声が聞こえてきそうだ。
「俺はピッチャーとバッターの駆け引きがみたいんだよ! たったワンボールで、いちいち出塁していればテンポが乱れるだろう。このハゲ!!」(ちなみに私はハゲかけであり、けっしてハゲではない)。
 だが、私は保証する。それに関しては何の問題もないと。
 なぜなら、点数がバンバン入れば、テンポの遅さなどまったく気にならないからだ。

 かのアメリカ元大統領、フランクリン・ルーズベルトは、次のような言葉を残したとされている。

 『野球は、八対七からが一番おもしろい』

 つまり、現在における投高打低(失点を少なくする)の傾向より、投低打高(点の取り合い)の方が、よりエキサイティングだと述べているのである。

 激しく同意だ。
 サッカーの試合にありがちだが、素人にとって、二時間も見せられたあげく、結果がゼロ対ゼロだった時ほどつまらないものはない。
 野球に限らず、あらゆるスポーツは、得点したタイミングが最も盛り上がることに異論を挟む余地はないだろう。
 アメリカではベースボールよりバスケットの方が人気だという。
 理由はいろいろ考えられるが、得点(ポイント)が目まぐるしく加算されるスピーディーさも、その要因の一つであることに間違いはない。


 野球に対する私の考察は異常以上であるが、最後に一つだけ言っておきたいことがある。
 私は決してプロ野球選手が羨ましいわけではない。
 例え年収が億を越えようが、女子アナと結婚しようが、自らをBIGBOSSと名乗ろうが一向にかまわない。
 それは彼らの実力であり、決して才能に恵まれていたわけでも、運が良かっただけではないことは充分理解しているつもりだ。

 だが、そういったスター選手たちが賭博や麻薬などで逮捕されたり、スキャンダルが発覚して落ちぶれたりした時ほど、面白いものはない。

 さすがはエンターテイメントのスポーツである。
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