第22話 初めての試合観戦
文字数 1,511文字
試合観戦の日は梅雨明けが発表された翌日で、朝から太陽がガンガン照りつけ、暑い一日を予感させた。
「当日は試合前の練習と準備で、迎えに行けなくてすみません」
そう言うトオルに教えられた、名古屋市内にある試合会場へと、マヤとユカは電車を乗り継ぎ向かう。
最寄り駅からはそれほど遠くない距離にあるその体育館は、大きな公園が併設されていて、朝から子供たちの遊ぶ声で賑わっている。
今日は秋の大会の予選だとトオルから聞いていたが、マヤの想像以上に多くの観客らしき人だかりが体育館にぞろぞろと入っていくのが見えた。
その流れについて行くように館内に入る。
観客席はすでに半分くらい埋まっていたが、トオルから、
「できるだけ前の方で見て下さいね!」
と言われていたので、空いていた最前列席に座った。
間もなく試合開始なのだろう。白とブルー、それぞれのユニフォームを着た選手たちがコート内に入っていく。
バスケ選手だけあって、皆一様に背が高い。
その中の、白側の一人がふいにこちらを向き、マヤたちに気づくと、嬉しそうな笑顔で手を振ってきた。
「トオルくんや!」
叫びながらユカが手を振り返す。
マヤは何だか気恥ずかしくて、微笑み返す事しかできない一方で、初めて見るユニフォーム姿のトオルに目を奪われていた。
白地のタンクトップから伸びる逞しい肩と腕、引き締まったウエスト、それに、無駄のない筋肉がついたふくらはぎ…。
正直、女としてゾクッとくるものがある。
おまけに超イケメンときてるんだから、そりゃ、どんな女も放っとかないに決まってる。
実際、選手登場で沸き起こった歓声の中には、「トオルーー!!」「深瀬さーーん!」と言った、女性たちの歓声がひときわ大きく響いていた。
(やっぱりな…)
複雑な心境になりながらも、
『絶対いいところを見せられるよう、頑張りますね!』
と、意気込んでいたトオルを思い出し、自分も精一杯応援しようと、邪念を払い姿勢を正した。
マヤはバスケの試合を生で観るのは初めてだ。
テレビのスポーツニュースで時折目にする程度で、ルールも詳しくは知らない。
しかし、試合開始のブザーが鳴ると、すぐに目の前の空間に引き込まれた。
ゲームは序盤から点の取り合いになる白熱した展開になり、マヤはトオルの圧巻のプレイにくぎ付けになった。
観客席にも興奮が広がり、皆が熱狂し始めた。
選手たちは皆、明らかに素人レベルを越えた素晴らしいプレイを見せていたが、トオルはその中でも別格であった。
ポジションのこともよくわからなかったが、トオルは常に中心的な存在で、一番走り、一番ゴールを決めていた。
何度か披露されたダンクシュートは迫力満点で、これまでマヤが見てきた、のんびりおっとりとしたトオルとはまるで別人であった。
バスケというスポーツのスピード感、躍動感、そして選手たちの迫力満点のプレイに、マヤはすっかり魅了された。
試合はトオルのチームが勝利し、客席は歓喜の声と、両チームの選手たちの勇姿をたたえる拍手で埋め尽くされていた。
しばらくして観客たちが次々立ちあがって出ていくのを横目に、マヤは席に座ったまま、その興奮の余韻に浸っていた。
ふと、通路を挟んで隣に座っていた若い女性が立ち上がった様子に視線を奪われた。
長い黒髪に、モデルのようにスタイル抜群のその美女が、白いハイヒールで通路に一歩踏み出そうとしているところだった。
試合中は集中していたので気付かなかったが、胸元が大きく開いたピンクのシャーリングブラウスはおへそを出すデザインで、下は超ミニの白のタイトスカート、と人目を引くファッションだ。
実際、周囲の人々がちらちらと彼女を見ている。
しかし、その理由はその容姿だけではなかったようだ。
「当日は試合前の練習と準備で、迎えに行けなくてすみません」
そう言うトオルに教えられた、名古屋市内にある試合会場へと、マヤとユカは電車を乗り継ぎ向かう。
最寄り駅からはそれほど遠くない距離にあるその体育館は、大きな公園が併設されていて、朝から子供たちの遊ぶ声で賑わっている。
今日は秋の大会の予選だとトオルから聞いていたが、マヤの想像以上に多くの観客らしき人だかりが体育館にぞろぞろと入っていくのが見えた。
その流れについて行くように館内に入る。
観客席はすでに半分くらい埋まっていたが、トオルから、
「できるだけ前の方で見て下さいね!」
と言われていたので、空いていた最前列席に座った。
間もなく試合開始なのだろう。白とブルー、それぞれのユニフォームを着た選手たちがコート内に入っていく。
バスケ選手だけあって、皆一様に背が高い。
その中の、白側の一人がふいにこちらを向き、マヤたちに気づくと、嬉しそうな笑顔で手を振ってきた。
「トオルくんや!」
叫びながらユカが手を振り返す。
マヤは何だか気恥ずかしくて、微笑み返す事しかできない一方で、初めて見るユニフォーム姿のトオルに目を奪われていた。
白地のタンクトップから伸びる逞しい肩と腕、引き締まったウエスト、それに、無駄のない筋肉がついたふくらはぎ…。
正直、女としてゾクッとくるものがある。
おまけに超イケメンときてるんだから、そりゃ、どんな女も放っとかないに決まってる。
実際、選手登場で沸き起こった歓声の中には、「トオルーー!!」「深瀬さーーん!」と言った、女性たちの歓声がひときわ大きく響いていた。
(やっぱりな…)
複雑な心境になりながらも、
『絶対いいところを見せられるよう、頑張りますね!』
と、意気込んでいたトオルを思い出し、自分も精一杯応援しようと、邪念を払い姿勢を正した。
マヤはバスケの試合を生で観るのは初めてだ。
テレビのスポーツニュースで時折目にする程度で、ルールも詳しくは知らない。
しかし、試合開始のブザーが鳴ると、すぐに目の前の空間に引き込まれた。
ゲームは序盤から点の取り合いになる白熱した展開になり、マヤはトオルの圧巻のプレイにくぎ付けになった。
観客席にも興奮が広がり、皆が熱狂し始めた。
選手たちは皆、明らかに素人レベルを越えた素晴らしいプレイを見せていたが、トオルはその中でも別格であった。
ポジションのこともよくわからなかったが、トオルは常に中心的な存在で、一番走り、一番ゴールを決めていた。
何度か披露されたダンクシュートは迫力満点で、これまでマヤが見てきた、のんびりおっとりとしたトオルとはまるで別人であった。
バスケというスポーツのスピード感、躍動感、そして選手たちの迫力満点のプレイに、マヤはすっかり魅了された。
試合はトオルのチームが勝利し、客席は歓喜の声と、両チームの選手たちの勇姿をたたえる拍手で埋め尽くされていた。
しばらくして観客たちが次々立ちあがって出ていくのを横目に、マヤは席に座ったまま、その興奮の余韻に浸っていた。
ふと、通路を挟んで隣に座っていた若い女性が立ち上がった様子に視線を奪われた。
長い黒髪に、モデルのようにスタイル抜群のその美女が、白いハイヒールで通路に一歩踏み出そうとしているところだった。
試合中は集中していたので気付かなかったが、胸元が大きく開いたピンクのシャーリングブラウスはおへそを出すデザインで、下は超ミニの白のタイトスカート、と人目を引くファッションだ。
実際、周囲の人々がちらちらと彼女を見ている。
しかし、その理由はその容姿だけではなかったようだ。