第5話 お見合い

文字数 1,232文字

約束の時間に余裕を持って保護主さんの自宅にたどり着く。
住宅街の中の一戸建てで綺麗な大きな二階建ての家だった。
ドアは二重扉になっていて木枠のドアが内側にあり脱走防止用なのだろう。
呼び鈴を鳴らすとすぐに案内してくれた。

中には猫があちらこちらを闊歩している
私たちは廊下を進み通された部屋はフローリングの広い部屋でガラス張りになったキッチンが奥にある。これも猫の侵入防止のためだろうか。
初めましてこのたびはと挨拶をして手土産を渡す。
「あそこにいますよ」
と保護主さんが示したゲージの中に猫はいた
私が射抜かれた猫だ

まだ3ヶ月と聞いたがそうだな、ソフトボールぐらいのサイズ感だろうか
ゲージを開けるとひょいひょいと軽い身のこなしで飛び出てくる
かわいい。。
動いとる。。

手を伸ばすと触らせてくれるが興奮しているように他の猫たちに紛れて動き回る
保護主さんやボランティアさんが気を遣って近くに連れてきてくれる

私たちはしばらくふわふわする猫たちを眺めたり触れたりしていたが
「双子なんです」
そう言ってもう1匹、似たような柄の猫を連れてそっと隣におろした

そうかー双子かー
やっぱどことなく似てるなあ
かわいい

顔が緩んだままにゃんこを愛でる私たちに、
「2匹ともどうですか?」
保護主さんがすかさず言う。

2匹…
実のところ気付いていたのだ
里親募集のページに載っていた写真にはその子と一緒に映ってた。
兄妹だろうか?でもまあ募集は別々だろうなと思い応募したのだのだったが、

でもふと
2匹ともって言われたらどうする?

私は夫にそう聞いてみた。
夫は経済的になあ、、と少し困った反応。
やっぱり違うかなあ と聞くと
単純に倍だからねぇ と言う
まぁそうだろうな

そんなやりとりをすでにしていたので
保護主さんの言葉を聞いて
おお
やっぱそうきたか!
私は夫の反応を思い出し
うーだかあーだか声を漏らしたような気がする
しかし夫が思ったより早いスピードで言ったのだ

「そうですね、離すのは可哀想ですし」

え?
いいの?

さすが猫好き家庭で育っただけのことはある。
大丈夫?と私が聞いてみると夫は
頑張って働きましょうかね
苦笑しながらそう言った

こうしてかわい子ちゃんが2匹も我が家に来ることになったのである。
引き取りは1週間後に決まった。引越しの日でその日にまた山口まで連れに来るのだ。
どうやらトライアルはなしで譲渡してくださるという
身分証明書が必要とかお宅訪問もさせていただきますとも里親の条件に書いてあったのでいろいろ覚悟していったのだけどもうメールのやり取りで大丈夫だと思っていた、と言われた
なんともありがたいお言葉だがなんせ初心者なのでむしろ大丈夫そうですか?とか言ってもらってもありがたいくらいなのに。
一気に2匹飼いなのだ。
大丈夫だろうか。。ふにふに思いつつもありがとうございますと頭を下げる。

こうしてお見合いの日が終わる。
それからの1週間、保護主さんは毎日猫たちの様子を写真や動画で教えてくださり
私は猫のいる生活を思いにやにやして過ごすのだった














ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

人①(私)

人②(夫)

猫①(キコ)

茶白

人という字の前髪

尻尾が長い、直毛

可愛いというより美人タイプ

性格:不思議ちゃん、ツンデレ

猫②(モコ)

茶白、背中に羽

オンザ眉の前髪

鍵尻尾、ふわふわ毛質

丸顔、可愛いタイプ

性格:おっとり、マイペース

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み