第6話 猫を運ぶ

文字数 1,212文字

1週間後、引っ越しで新居に荷物を運び終えて私たちはその足でまた山口へ向かった。
今度は猫を連れて帰るゲージと洗濯ネットを持って。

契約書のようなものを交わし、
ワクチンを子猫には打たないといけないのだけど2回目のワクチンを受けることを言われ
1回目のワクチン証明書を受け取る。
これまで食べていたフードやご飯の時間を質問するが
なんせ私は初猫飼いなので知らないことばかりだ。
またちょこちょこ質問させてくださいとお願いした。

その場には保護主さんとボランティアの方が数名いた
その中のお一人がニャンたちに声をかけながら泣いていた
「よかったねえ、ずっとのおうちが見つかったね」

保護主さんは個人でこの保護猫ハウスを私財を投じて存続させているという
ハウスにはもう50匹ニャンちゃんがいるそうだ
日々猫たちにご飯を与え病気のある子には薬を与え
病院に連れて行ったり人に慣れさせて里親探しをする。
保護主さんの方もSNSや保護猫サイト等々あらゆる方法で里親探しをしているのだ。
探している者が探している者と繋がれたらそれ以上のことはない。
なかなか里親が決まらない子は生涯飼育をするという。

すごい話だ
町中でも野良猫を見かけたら
わー猫だ、かわいい
ぐらいにしか思わなかった自分を恥じる思いだ

たまたま見つけたサイトでたまたま応募した猫がたまたま良い方がされている団体でたまたますんなり認めてくださり譲渡してくださった
ありがたいことだ

なんでもそうだけど良いことがある時、私は本当にたまたまだと思うようにしている
ハズレや空くじを引くことなんてしょっちゅうだもの

さて。
幾度も頭を下げながら保護主さん宅を後にする

夫に運転してもらい、私は後部座席にゲージと一緒に乗り込んだ
中では洗濯ネットに1匹ずつ入れられてそれぞれがもぞもぞしている

猫の名前はキコとモコ
保護主さんのつけた名前だ
モコの方はもう1匹より毛がモコモコしているから
キコの方はもう1匹より黄色(明るい茶色だが)が多いから
という命名だそう
引き取ってから名前を変えてつける人もいるそうだが
私たちはぴったりな名前だねぇと全く変える気もなく猫と共に名前もいただいた

走る車の中で私は保護主さんが教えてくれた通り声をかけてやる
大丈夫よー
もう少しよー(全然まだだけど)
もうちょっと頑張ろうねえ(全然ちょっとじゃないけど)
1時間半もかかるのだ
保護主さんは大丈夫ですよと言ってたけど。。

1時間ぐらい経った頃だろうか
キコの方がニャアニャアと泣きゲージの中で体をぶつけている
慌てて出してやって洗濯ネットのまま膝に乗せた
洗濯ネットは猫運搬の際のメジャーな方法らしく
入れると猫が安心するのだそう
体が固定されるのがいいのだろうか

キコを膝に乗せてよしよし撫でながらゲージを見るとモコが洗濯ネットの中でじっと丸まっているのが見える。
モコはおっとりしていると保護主さんが話していたのを思い出す。
じっと座って我慢強い子だなと
私はキコを撫でながら思った。

続く


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登場人物紹介

人①(私)

人②(夫)

猫①(キコ)

茶白

人という字の前髪

尻尾が長い、直毛

可愛いというより美人タイプ

性格:不思議ちゃん、ツンデレ

猫②(モコ)

茶白、背中に羽

オンザ眉の前髪

鍵尻尾、ふわふわ毛質

丸顔、可愛いタイプ

性格:おっとり、マイペース

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