第10話 土御門咲夜と蘆屋真名

文字数 7,364文字

西暦2008年2月10日
土御門本庁修練場

「貴様!!!!!!! どういうつもりだ!!!!」

「…」

その時、土御門咲夜は修練場の師範に怒鳴りつけられ項垂れていた。

「お前がさっき使った符術…明らかに改造が施されていたろ!!!!
そんな危険なものをなぜ使った!!!!!」

「…」

咲夜はただ唇をかみながら黙っている。それが師範の怒りに火をつける。

「黙っていてはわからん!!!!
何とか言ったらどうだ?!!!!」

「あの符は…別に危険なモノじゃ…」

そう咲夜がぼそぼそと喋ると。

「お前!!! いい加減にしろよ?!!!
危険かどうかは、私が判断する!!! お前みたいな未熟者が分かるモノか!!!!」

「…」

その師範の怒鳴り声に口をつぐむ咲夜。

「お前!!!! 何度注意されれば気が済むんだ!!!
ただ勝ちたいがために、符に勝手に改造を施して…何度仲間を危険にさらすんだ!!!!」

…そう、咲夜は過去にも何度も、勝手に符術の符に改造を施して、呪術訓練の時に許可なく使っていた。
なぜなら…

「お前…、最近お前が、他の者より上達が遅れて、組手でも敗北続きなのは知っている。
だからと言って、ただ勝つためにそんなものを使って何になる?!
もっと、訓練に身を入れて皆に追いつくことが重要だろう?」

このときの咲夜は、はっきりと他の術者より、呪術などの上達が遅れ始めていた。
無論、咲夜は他の者より、訓練量が少ないわけではない、ただどんなに努力をしても他の者に追いつくことが出来ないのだ。
それが、咲夜の焦りとなり、このようなやってはいけないことに手を出すきっかけになっていた。

「…咲夜」

「はい…」

「お前は最近16になったな?」

「はい」

「もういい歳だ…。今度はお前が皆の手本になるべき存在になるんだ」

「…」

咲夜は黙り込む。

「いい加減大人になれ」

そういって、師範は咲夜のもとを去る。
うなだれる咲夜の耳に、周囲の訓練生たちのかすかな声が聞こえてくる。

「ほんと…いい加減に理解した方がいいよね?」

「そうそう…。いくら、永昌様の娘とはいえ、呪術師としての才能がこの程度じゃ、やっていけるわけないのに…」

「卑怯な手で組手に勝って。それで強くなれるわけないのにね」

訓練生の、その棘のような言葉は、咲夜の胸に深く突き刺さっていく。

自分は呪術師の才能が無い。

その事をいやでも突きつけられて、咲夜はただ悔し涙を飲んだ。
この数日後、咲夜は一つの決断を下す。


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「なに?! 今なんというた咲夜!」

「…」

咲夜は土御門当主である祖父・永時の前でただ暗い表情でうつむいている。

「咲夜…お前…本気なのか?」

「はい…本気です。私は…」

咲夜は永時の方を向いて口を動かす。

「私は陰陽師をやめます」

「な! 馬鹿な…それがどういうことか理解しているのか?」

「はい…」

その咲夜の返事に、永時は狼狽えた様子で言う。

「まだ…お前はまだまだだろう? これから修行をして立派な陰陽師に…」

「私には才能が有りません…」

「!!」

「その事は、本当はおじいさまもわかっていらっしゃるはずです」

「…」

永時は、その咲夜の言葉に黙り込んでうつむく。

「もう決めてしまったのか?」

「はい…」

その咲夜の言葉に、永時は一息ため息をついて。

「その決断…少し待てぬか?」

「…いくら待っても、同じだと思いますが?」

「…今度、播磨法師陰陽師衆蘆屋一族との会談がある…。お前をそれにつれていく。
それまで、判断は保留にするのじゃ」

「? どうして?」

「どうしてもじゃ。その後ならお前の自由にさせてもよい」

「…よくわかりませんが。わかりました」

そういう咲夜のことを、心配そうに眺める永時。

(これで…気が変わってくれるとよいのだが…)

こうして、咲夜は永時に連れられて、初めて蘆屋一族へと足を踏みいれることになる。
その先で、運命の出会いがあるとは、このときの咲夜は全く知らなかった。


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「ようこそ! 君が永昌の娘・咲夜ちゃんか!」

蘆屋道禅はそういって、気さくに挨拶をする。

「はじめてお目にかかります。土御門咲夜です。
よろしくお願いします」

「いやいや。礼儀正しいね。でも、そんな固くなることはないぞ?
うちはそんな堅っ苦しい礼儀作法とかないから!
まったく気にしないから!」

「は…はあ」

咲夜は困惑気味に道禅を見る。
目の前の道禅は、蘆屋一族の現頭領とは思えない、ただの気のいいあんちゃんに見える。

「ははは!!!!
これから、君んとこの爺さんと話があるから。君はあっちで、うちの娘の相手をしてくれないかい?」

「え?」

その言葉に咲夜が疑問符を飛ばす。

「うちの娘はまだ修行を始めたばかりでね。
娘の相談に乗ってあげてほしいんだ」

「わ…私は…」

ついこの間、陰陽師をやめようと考えたばかりの咲夜は少しためらった。
道禅はそんな咲夜の気持ちを、知ってか知らずか笑いながら話す。

「なあ頼むよ咲夜ちゃん!」

その強引な言に咲夜は断ることが出来なかった。

「わかりました…。私でよかったら」

「ありがとう咲夜ちゃん!!」

そういって道禅は笑ったのである。

そして…


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「はあ…なんで私が」

そうため息をつきながら、咲夜は蘆屋家の使用人に連れられて、蘆屋の修練場へと向かった。
歩くたびに咲夜の脚は重くなったが、道禅に頼まれた手前仕方ないと割り切ることにした。

「ここです…」

蘆屋の使用人がそう答えて、修練場の扉を開く。そこにその娘がいた。

「!!!」

そこにいたのは、年のころは十歳にも満たないように見える、線が異様に細いガリガリに痩せた娘であった。
その身体は明らかに無理をしているのか、全身汗まみれで時折よろけながら、体術の型を行っている。
ただ…

(何? この子…)

その、あまりに弱弱しい見た目に反して、その瞳だけはぎらぎらと輝いている。
それは、まるで執念が形をとって現れたかのように、強い、あまりに強い意志をたたえていた。

「姫様…」

使用人が真名に言葉をかける。でも、娘は反応しない。

「姫様…」

それから、幾度か使用人が娘に声をかける。そして…
それから、十数回呼ばれてやっと、その娘は咲夜たちの方を振り向いたのである。

「なんだ八重? なんの用だ」

娘は不満げに使用人に話しかける。

「ただいま。土御門永時様がいらっしゃって…」

使用人は真名に手早く話を伝える。
そして、土御門咲夜が自分の修業を見てくれるということも…。
しかし、

「いらない」

娘はその一言を言って、再び型を始める。
その態度に、さすがの咲夜もカチンと来た。

(なに? この子…私だって好きでこんなところに来たわけじゃないのに!)

その娘のあまりの言い方に、完全にやる気を削がれた咲夜は、一瞬娘を睨み付けてからその場を去ろうとする。

(ふん…。だったら勝手にすればいいわ。あんな子…)

不意に咲夜はその場に止まる。
そして、その娘の方を振り返った。

(? この子?)

咲夜は、相変わらずよろよろぎこちない型を行っている真名をじっくり見る。
そして…その娘の体を霊視してみたのである。

(?!!)

その娘を霊視して見て、咲夜は驚愕した。

(なに? この子…、なんでこんなに霊力の流れが乱れているの?
それに…弱い…。一般人にすら及ばないほど弱い…)

そうして驚愕の表情を浮かべている咲夜の方を、不意に娘が見る。

「何? まだ何か用なの?」

「!!!」

その娘の辛辣な態度にカチンときた咲夜は、むっとして睨み付ける。
そんな咲夜を詰まらないもののように見て、その娘は言った。

「…修行の邪魔だから。帰ってほしいんだけど?」

「く!!」

その態度に、いい加減咲夜は頭に来た。だから言ってしまった。

「何が修行よ! 体内の霊力の乱れも抑えられていない、そんな適当な型で修行になるわけないでしょ!」

「なに?」

娘は不機嫌そうに目を細める。
咲夜は、その時、完全に頭に来ていた。目の前の娘の件だけではない、それまでの自分のことも含めて、苛々していたものがここにきて爆発してしまった。
だから、目の前の娘に自身の心の黒いものをすべて吐いてしまった。

「それに何? あなたの霊力? あまりに弱すぎるわ。そんな霊力でよく呪術師の修行なんてやってられるわね。
…はっきりいって。貴方のやっていることは無駄よ!」

「なんだと…」

咲夜に言われた娘は、本格的に不機嫌になる。
その表情に、少し溜飲を下げた咲夜は、薄く笑って言う。

「なに? 怒ったの? 当然の事でしょ? あなたの霊力は一般人より弱いんだから。
呪術師になんてなれないのよ? 理解してないの? 馬鹿?」

「貴様!!」

娘はとうとう怒って、咲夜の方に歩いていく。しかし、

「く…」

不意に膝をついて呻き始めた。

「? 何よ? まさか、よろけたの? 足運びもままならないくせに、よく修行なんてできるわね」

「私は…」

「私は?」

「私は呪術師になる!!」

「だから無駄だっていうのに」

「無駄じゃない!!!!」

「無駄よ」

ついに娘は脚を引き摺って咲夜の胸ぐらをつかんだ。

「私は呪術師になる!!!!」

「だから無駄な努力よ!!!!」

「!!!」

娘は咲夜のその言葉に、一層目を開いて怒りの表情を浮かべる。

「無駄な努力なんてあるもんか!!!!!!!」

そのままこぶしを咲夜に向けて放った。

「…」

しかし、咲夜は避けなかった。その拳は自分から、咲夜を避けたのだ。

「!!!」

咲夜は冷徹な表情で真名を見下ろす。

(そう…無駄なのよ。
貴方では呪術師になれない。
私ですらなれなかったのに、貴方がなれるもんですか)

その瞳には、諦めが色濃く宿っていた。


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(おいおい…あれを止めなくてよいのか道禅?)

(止めてどうするんです?)

(いやだってアレでは…)

その時、永時と道禅は、隠れて修練場の二人のやり取りを見守っていた。

(八重…お前も、二人を止めるなよ?)

(はい…でもよろしいのですか?)

(いいんだよ…。ぶつかってみてわかることもある)

(はあ…)

八重は困惑顔で、修練場の外へと出る。
修練場内では、二人の娘が喧嘩と呼ぶにはあまりに危険な衝突を始めていた。


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「…呪術」

「そうよ」

娘の言葉に、咲夜は答える。

「…私は」

「なに? まだやる気?」

「私は!!!! もう負けない!!!!!」

不意に娘の体が加速した。

「!?」

それは、今までとは打って変わって素早い動き。
まるで肉体に一本筋が通ったような、正確な体運び。

(なに? なんなのこの子!!)

「はあ!!!!」

気合い一閃、拳が咲夜のもとへと届く。

「く!!! なんで?」

あまりのことに咲夜は慌てた。思いっきり頬を殴り飛ばされる。

「く!!!」

さらに娘は、咲夜を殴ろうとする。しかし、

「そんなに好き放題…させるか!!」

咲夜は素早く身をひるがえして、懐に手を入れた。
その時咲夜は完全に頭に血が上っていた。だから、呪符を娘へと投擲した。

ズドン!

娘が拳一閃、空中で呪符が爆発する。

「な!!!」

呪符は娘の拳で撃ち落とされてしまったのである。

(な? なんなのよこの子!!)

咲夜は急いで意識を集中して娘を霊視()た。

「!!!」

咲夜は霊視で見えた光景に驚愕した。先ほどまで明らかに乱れていた霊力の流れが、体全体に展開する細かな術式によって整えられている。

(これはまさか?)

その術式に咲夜は見覚えがあった。

(この子…)

不意に咲夜が攻撃の手を止める。それを不審げに見る娘。

「あんた…。体が上手く動かせないの?」

「…」

娘は黙っている。

「あんたのその術式…。動かない身体を無理やり動かす肉体制御術でしょ? 普通は、身体障碍者とかが使う術…」

「それが…どうかしたか」

「…」

そういえば、咲夜には聞き覚えがあった。確か、蘆屋道禅の娘は、生まれつき『欠落症』で、体が動かせない寝たきりだったと…。
咲夜は、ため息をついて呟く。

「馬鹿じゃないの?」

「なに?」

「あんた馬鹿よ…。
動かない身体を無理やり動かして…。
扱えない呪術を無理やり覚えて…。
それで呪術師になるつもりなの?」

「…」

娘は黙って、咲夜を睨み付ける。

「悪いことは言わない…。
もうやめておきなさい…」

「いやだ」

「…いやだっていっても、ダメなのよ…。
貴方の体は…貴方の想いについてこれない。
…貴方は、どうにもならない身体を、ただ削ることしかできないのよ?」

「いやだ」

咲夜はとうとう泣きそうな顔になって。

「無駄なのよ!
もう、貴方は呪術師になれない!」

「なれる」

きっぱり言い切る娘に、とうとう咲夜は吐き出すように言った。

「…私に無理なのに。貴方がなれるわけないでしょ!!」

「…」

その言葉をだまって娘は聞く。そして、

「私は…なる…
絶対に…呪術師に」

そう言いきった。

(なんなの?
この子…イライラする!!
なれるわけない夢に縋り付いて!!)

咲夜は一瞬唇をかんだ後叫んだ。

「だったら思い知らせてあげる!!!
呪術師になれない程度の私に敗北すれば。貴方も目覚めるでしょ!!!」

そうして、咲夜は懐から術符を出した。
そして、起動呪を唱えて投擲する。…上空に、

「?」

その不審な行動に一瞬驚く娘。しかしその直後…

ズドドン!

無数の小型のエネルギー弾が、真名の頭上から降り注ぐ。

「な?!」

「これは、私が改造した時限落下式拡散弾・脳天爆雨(のうてんばくう)よ!」

娘はそのエネルギーの雨をボロボロになりながら避けていく。

「まだよ」

今度は真名に向かって術符を投擲する咲夜。それを拳で撃墜しようとする娘。しかし、

「?!」

不意に術符がエネルギーに昇化、そのまま地面へと消えていく。

「まさか!!!」

次の瞬間、娘の立つ地面が爆発、木の葉のように娘は飛ぶ。

「これも…私が改造した地龍瀑布(ちりゅうばくふ)よ!!」

「く…」

娘は地面に転がり呻きながらも、なんとか立ち上がってくる。

「まだやるの?」

それからは、まさしく咲夜の一方的な蹂躙が続いた。
咲夜の扱う符術は、変幻自在、縦横無尽で、娘を翻弄したのである。

「これで分かったかしら?
この私でも…呪術師になるのはあきらめた…。
貴方が出来るほど甘い世界じゃないのよ?」

咲夜の言葉を、娘は地面に転がったまま静かに聞く。そして…

「私は…、絶対にあきらめない…。
たとえ命を失っても…」

「馬鹿じゃないの? 命を張るほどの事じゃ…」

「私にとっては!!!
命を張ってもやり遂げるべきことなんだ!!!」

そう叫んで、娘は立ち上がってきた。

「あなたは…」

咲夜は、苦しげな表情で符を取り出す。
目の前の娘の受けているダメージ的に、後一撃で娘は気絶するはずだ。それで…

(ごめんなさい…。
これでもう終わりよ)

そう心でつぶやいて投擲した。
投擲された符は、娘の目前で消えてなくなる。あとは…、

(あの子の背後から衝撃波が…)

不意に、娘が目を瞑る。まるですべてを諦めたかのように。

(…そう。それでいい。もうあなたは、私みたいに苦しむ必要なんてない)

娘の唇が動く。

「だったらお前に見せてやる。
全てを貫き通す、不断の意志を…」

「?!」

爆発が娘を背後から襲った。娘は木の葉のように舞う。

(終わった…)

いや…

次の瞬間、娘の瞳が強く輝いた。

「!!!!!」

空中で一気に加速する。

「はあああああ!!!!!!!」

そして娘の拳が一閃された。

「う!!!!!!!」

その拳をまともに腹に受けて吹っ飛ぶ咲夜。そのまま意識を喪失する。

「はあ…はあ…。私は、負けない…」

その言葉だけが、咲夜の薄れる意識に木霊していた。


-----------------------------


「…」

しばらくして咲夜は目を覚ます。
その隣に、先ほどまで戦っていた娘が、膝を抱えて座っていた。

「そうか…私、負けたんだ」

「そうだ…私の勝ちだ」

娘はきっぱり言い切る。咲夜は薄く笑って。

「こりゃどうしようもないな…。あんたみたいな出来そこないに負けるんじゃ。やっぱり私は呪術師にはなれない」

「あきらめるのか?」

娘は不思議そうな顔で咲夜を見る。

「みんながみんな。あんたと同じと思わないで…。私は」

咲夜ははっきりと自覚した。自分には呪術師は無理なのだと。
娘はそんな咲夜を見て、ちょっと残念そうな表情をして言った。

「惜しいな…」

「え?」

「お前の符術…面白かった」

「…」

その娘の言葉に、虚を突かれたように黙り込む咲夜。

「…少なくとも私には、あんな発想はできない。すごいと思う…」

「…ほんとに? そう思う?」

「ああ…」

娘のその言葉に咲夜は天を仰いで寝転ぶ。

(…そうか…そう言うことか)

その時、咲夜の心は闇が晴れたかのように、すっきりとしていた。

「ふふふふ…」

「どうした?」

娘は不意に笑いだした、咲夜を心配気に見る。

「私!!!! もう呪術師止める!!!!!!」

「それはさっき聞いた…」

「でも、それは諦めたんじゃない!!!
あんたのおかげで、私は次の夢を見つけた!!!!!」

「それは?」

咲夜は起き上がって娘を見つめる。

「私は、術具職人(アイテムクリエイター)になる!!!!!!」

「術具職人?」

「そう!!!! 思いだしたのよ!!!!
術式をいじることがどれだけ楽しいことかって!!!!」

「そうか…」

その咲夜の言葉を聞いて、少しだけ微笑む娘。

「あんた名前は?!」

「私は…蘆屋…蘆屋真名だ」

「そう!!!!! だったら、これからもあんたは私と戦ってもらうわ!!!!!!」

「?」

真名は怪訝そうな顔で咲夜を見る。

「私の術具の実験台になってもらう!!!」

「断る」

真名はきっぱり言い切る。

「フフフ断ってもダメよ!!!! あんたは私のライバルなんだから!!!!」

「勝手に決めるな」

真名は心底嫌そうに咲夜を見る。その表情を軽く受けとめて咲夜は笑う。
その表情にはもはや、黒い影はひとかけらも残ってはいなかった。


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「そうか…やはり陰陽師はやめるか」

「はい!!」

咲夜は永時にはっきりと言い切る。

「仕方がないな…、もはや」

永時はため息をつく。しかし、それとは対照的に咲夜の目は輝いている。

(見てなさい!!蘆屋真名!! 私は世界一の術具職人になる!!!
…貴方も…。絶対、呪術師になる夢、諦めないでね!!!!)

こののち…土御門咲夜は、世界有数の術具職人(アイテムクリエイター)に数えられることになる。
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