第5話 創世記

文字数 1,092文字

概要
 「創世記」、「出エジプト記」、「レビ記」、「民数記」、「申命記」は、まとめてモーセ五書と呼ばれ、大きく次の三点について書かれている。

1 天地創造
2 イスラエル民族がエジプトに行き、そこから脱出したこと
3 エジプトから脱出したときに与えられた神の掟

 創世記第1章から第11章までは、天地創造と古代の物語、第12章以降は、アブラハム、イサク、ヤコブの物語である。

創世記本文の内容
 創世記は全部で50章あり、天地創造、エデンの園からの追放、ノアの洪水、ヨセフ物語など、ユダヤ教やキリスト教に関心をもっている人にももっていない人にもよく知られた話が書かれている。

創世記を読んだ感想
 自分が関心を抱いたことのひとつにアブラム(アブラハム)のエジプト滞在の話がある(12章10-20節)。
 アブラムは飢饉が原因でエジプトへ行くことにしたのだが、このとき、妻のサライに対し、「あなたが美しいのを、わたしはよく知っている。エジプト人があなたを見たら、『この女はあの男の妻だ』と言って、わたしを殺し、あなたを生かしておくにちがいない。どうか、わたしの妹だ、と言ってください。そうすれば、わたしはあなたのゆえに幸いになり、あなたのお陰で命も助かるだろう。」と述べるのである。
 そして、サライがファラオの宮廷に入ったあと、主(神)によるおそろしい病気がファラオと宮廷の人々をおそったため、ファラオは「あなたはわたしに何ということをしたのか。なぜ、あの婦人は自分の妻だと、言わなかったのか。なぜ、『わたしの妹です』などと言ったのか。だからこそ、わたしの妻として召し入れたのだ。さあ、あなたの妻を連れて、立ち去ってもらいたい。」とアブラムに告げることになったと記されている。
 この箇所について、どのような解釈がなされているのか知らないが、アブラハムは、クルアーンでも次に示すように、重要な預言者として評価されている。

「心の愚かな者はともかく、だれがアブラハムの宗教を忌避するだろうか。われらは現世において彼をとくに選んでやった。来世においてもまた、彼こそ(ただ)しい人々のうちに数えられる。」(雌牛の章130節)

 生存に関する教訓が示されているのかもしれないが、クルアーンに義人として示される人物が、現代日本における常識的判断では、必ずしも(ただ)しいとは考えられにくい行為をしたと聖書に書かれていることは、自分には興味深く思えた。

参考文献
鈴木崇巨(2016)『1年で聖書を読破する』いのちのことば社
共同訳聖書実行委員会(1987)『聖書 新共同訳』日本聖書協会
藤本勝次(責任編集)(1979)『コーラン』中央公論社
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