戦国伏龍伝 漂流編

[ファンタジー]

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 21世紀に平和に暮らしていた青年が、富士山の噴火に伴う大地震で異次元に飛ばされる。
 そこは、歴史の授業で習った戦国時代に似た世界だったが、青年が元いた世界とは大きく異なる点があった。戦闘武器として、火薬技術が発達してなく、気道と呼ばれる不思議な技を使って、戦っていた。

 叫ぶと同時に、勝悟は武気を左足に込めて跳び上がった。
 勝悟の身体はおよそ三メートルの高さまで上がり、大男との六メートルの距離を一瞬で縮め、武気で強化した槍を振り下ろす。
 まるで豆腐でも切るかのように、大男の身体は右の肩口から腰まで斜めに切り離された。勝悟が着地すると、大男の上体がゆっくりと切り口に沿って滑るように地面に落ちる。

 リーダー格が惨殺されて、夜盗の士気はいっぺんに下がった。逃げたくても後ろは火に包まれている。パニックになって向かって来る敵を、勝悟は小助仕込みの槍裁きで次々に斬り倒した。
 武気で強化された槍は、大木でも一刀で切り倒せる。人間の身体など斬った感触が残ることなく、サクサクと切り離していった。
 およそ十人も斬り倒しただろうか。その間に権三郎も三人斬り伏せていたので、敵の数も半数になっている。更に敵を壊滅しようと構えなおしたとき、炎が消えてその後ろから武装した騎馬集団が現れた。