第31話
文字数 1,876文字
外を眺めスタバを飲むだけのお気楽仕事気分の女と
必死で働く俺。
世の中はいつだって 不条理だ。
今日も満員電車の中で何時間も揺られて出勤している魂が半分抜けかけた同じような格好をしたオヤジ集団と、やれランチ会だお茶会だとほとんど布のようなものを纏った若い女達が「映える」と言って、写真撮影会をしながら、目の前で劣化していく食べ物を尻目に必死で仮想空間に情報を蓄積する。
必死で俺のように働くオヤジ集団は、家族や会社の為に身を粉にして働いてこの社会を支えているというのに、必要のないものまで注文し、そこには目もくれず、SNSの仮想空間の中でひたすら承認を求め消費活動を加速させる女共。
これが環境破壊と言わずなんと言うのか?
魂が半分抜け出したオヤジ達の断末魔がフラペチーノのカップの向こう側に見えた気がした。
あぁ、俺は消費する側ではなくて
消費される側だったってことか・・・。
視界が急に暗くなりデスクの上に突っ伏せてた柊に驚いた田中は会議室を出ると大声で叫んだ。
「向坂さん!向坂さん!!・・・柊さんが・・・」
向坂のいる営業1課から会議室に戻ると、まだ柊は意識を失ったままデスクに伏せるように座っていた。
向坂が柊の肩に触れ
「おい、柊。おい、柊。大丈夫か?聞こえるか?」と声をかけていると
意識を失った柊がピクッと動き驚いた様子で
「あ、え?向坂さん、どうしたんですか?!もう締め切りでしたっけ?」
と驚いた様子で振り返り向坂に尋ねた。
柊は倒れたことも、気を失ったことも気づかぬまま時間が経過している体感さえないままだった。
「どうしたんですか?じゃないぞ!柊!お前、急に倒れたって田中さんが呼びにきてくれたんだよ。お前一人じゃなくてよかったよ、田中さんもありがとう。」
え・・・?俺が倒れた?どういうことだ?
何が起きた?
急いでパソコンを立ち上げると、フリーズしたままデータが吹っ飛んでいた。
やっちまった・・・。くそっ・・・。
気を失った瞬間キーボードにダイブしてデータをすっ飛ばしたんだな・・・。
保存したデータまで飛んでる・・・。今日中にサクッと終わらせるはずが・・・これじゃあ向坂さんになんて説明すれば・・・
そもそも、データがないなら作業をしていないのと同じじゃないか?!
それって、あの女と・・・コーヒーを飲んで公園をぼーっと眺めていただけのあの女と何が違うんだ?
同じじゃないか・・・・
俺は仕事をしていたんじゃなく
あの女と同じで怠けていた
サボっていただけじゃないか・・・・くそ。
柊が頭を抱え舌打ちすると向坂は心配そうに柊の方に手を乗せ
「柊、おまえ体は大丈夫か?大丈夫ならそれで良いんだ。」
「でも、向坂さんデータを俺が飛ばしちまって・・・保存もしながら作業を進めていたのにその保存した分のデータまで残っていなくて」
こんな言い訳じみた事誰が信じるというんだ。ただの俺のミスだ。
あぁ情けない。
「もう、今日は良いから帰って少し休め。柊、お前根を詰め過ぎなんだよ。
少しは良いからぼーっとして休んでろ、大丈夫だから。」
そんな・・・俺が・・柊さんに迷惑をかけてる・・・
なんてことをしたんだ。
あぁ、こんな俺は役立たずだ。
けど、それもこれも全部あの女のせいだ。
自己中に自分勝手に仕事の現場でやりたい放題、その癖俺のことを邪魔してきたあいつが諸悪の根源だ。
俺はこんなに頑張っているのに、ただ消費するだけに生きてきて他人の邪魔ばかりする奴ばかりが良い目を見て・・・。
「柊さん、大丈夫ですか?すごい大きな音がしたので、柊さん痛かったと思います。向坂さん、柊さん本当に頑張ってたんですよ!ずっと資料作ってらっしゃいましたから。」
「あぁ、田中さんありがとう。柊、よかったな田中さんが居てくれて」
・・・って、おまえが言うな
おまえには言われたくない・・・・。
おまえは邪魔してただけで何もしていないくせに、何を向坂さんに吹き込んで贔屓されて
おまえは、何もしないくせに・・・何を偉そうに・・・。
「柊、今日はとりあえず帰れ。現場は大丈夫だ。
また明日、ミーティングをしながら三人で方向性を決めていこう。大丈夫だから。」
納得できないが、向坂さんにこれ以上迷惑をかけても申し訳にない。
実際に俺のミスで向坂さんまで巻き込んで時間を奪っているようなものだから、おとなしく帰って、資料を仕上げてまた明日出社すれば良いか・・・。
ただ、心配そうに見つめる田中に対しての怒りは収まらなかった。
明日のミーティングでそのことについても向坂さんに言わないとな。
この女さえいなければ、このプロジェクトはもっと簡潔に進められるんだからな・・・。
必死で働く俺。
世の中はいつだって 不条理だ。
今日も満員電車の中で何時間も揺られて出勤している魂が半分抜けかけた同じような格好をしたオヤジ集団と、やれランチ会だお茶会だとほとんど布のようなものを纏った若い女達が「映える」と言って、写真撮影会をしながら、目の前で劣化していく食べ物を尻目に必死で仮想空間に情報を蓄積する。
必死で俺のように働くオヤジ集団は、家族や会社の為に身を粉にして働いてこの社会を支えているというのに、必要のないものまで注文し、そこには目もくれず、SNSの仮想空間の中でひたすら承認を求め消費活動を加速させる女共。
これが環境破壊と言わずなんと言うのか?
魂が半分抜け出したオヤジ達の断末魔がフラペチーノのカップの向こう側に見えた気がした。
あぁ、俺は消費する側ではなくて
消費される側だったってことか・・・。
視界が急に暗くなりデスクの上に突っ伏せてた柊に驚いた田中は会議室を出ると大声で叫んだ。
「向坂さん!向坂さん!!・・・柊さんが・・・」
向坂のいる営業1課から会議室に戻ると、まだ柊は意識を失ったままデスクに伏せるように座っていた。
向坂が柊の肩に触れ
「おい、柊。おい、柊。大丈夫か?聞こえるか?」と声をかけていると
意識を失った柊がピクッと動き驚いた様子で
「あ、え?向坂さん、どうしたんですか?!もう締め切りでしたっけ?」
と驚いた様子で振り返り向坂に尋ねた。
柊は倒れたことも、気を失ったことも気づかぬまま時間が経過している体感さえないままだった。
「どうしたんですか?じゃないぞ!柊!お前、急に倒れたって田中さんが呼びにきてくれたんだよ。お前一人じゃなくてよかったよ、田中さんもありがとう。」
え・・・?俺が倒れた?どういうことだ?
何が起きた?
急いでパソコンを立ち上げると、フリーズしたままデータが吹っ飛んでいた。
やっちまった・・・。くそっ・・・。
気を失った瞬間キーボードにダイブしてデータをすっ飛ばしたんだな・・・。
保存したデータまで飛んでる・・・。今日中にサクッと終わらせるはずが・・・これじゃあ向坂さんになんて説明すれば・・・
そもそも、データがないなら作業をしていないのと同じじゃないか?!
それって、あの女と・・・コーヒーを飲んで公園をぼーっと眺めていただけのあの女と何が違うんだ?
同じじゃないか・・・・
俺は仕事をしていたんじゃなく
あの女と同じで怠けていた
サボっていただけじゃないか・・・・くそ。
柊が頭を抱え舌打ちすると向坂は心配そうに柊の方に手を乗せ
「柊、おまえ体は大丈夫か?大丈夫ならそれで良いんだ。」
「でも、向坂さんデータを俺が飛ばしちまって・・・保存もしながら作業を進めていたのにその保存した分のデータまで残っていなくて」
こんな言い訳じみた事誰が信じるというんだ。ただの俺のミスだ。
あぁ情けない。
「もう、今日は良いから帰って少し休め。柊、お前根を詰め過ぎなんだよ。
少しは良いからぼーっとして休んでろ、大丈夫だから。」
そんな・・・俺が・・柊さんに迷惑をかけてる・・・
なんてことをしたんだ。
あぁ、こんな俺は役立たずだ。
けど、それもこれも全部あの女のせいだ。
自己中に自分勝手に仕事の現場でやりたい放題、その癖俺のことを邪魔してきたあいつが諸悪の根源だ。
俺はこんなに頑張っているのに、ただ消費するだけに生きてきて他人の邪魔ばかりする奴ばかりが良い目を見て・・・。
「柊さん、大丈夫ですか?すごい大きな音がしたので、柊さん痛かったと思います。向坂さん、柊さん本当に頑張ってたんですよ!ずっと資料作ってらっしゃいましたから。」
「あぁ、田中さんありがとう。柊、よかったな田中さんが居てくれて」
・・・って、おまえが言うな
おまえには言われたくない・・・・。
おまえは邪魔してただけで何もしていないくせに、何を向坂さんに吹き込んで贔屓されて
おまえは、何もしないくせに・・・何を偉そうに・・・。
「柊、今日はとりあえず帰れ。現場は大丈夫だ。
また明日、ミーティングをしながら三人で方向性を決めていこう。大丈夫だから。」
納得できないが、向坂さんにこれ以上迷惑をかけても申し訳にない。
実際に俺のミスで向坂さんまで巻き込んで時間を奪っているようなものだから、おとなしく帰って、資料を仕上げてまた明日出社すれば良いか・・・。
ただ、心配そうに見つめる田中に対しての怒りは収まらなかった。
明日のミーティングでそのことについても向坂さんに言わないとな。
この女さえいなければ、このプロジェクトはもっと簡潔に進められるんだからな・・・。