第11話

文字数 1,579文字

「トモイ!!ここなんてどうかな?
周りは木に囲まれてるし、この木は大木でしっかりしてそうだ。
周りからは見えにくいし、秘密基地には、ピッタリだろう?
幹もしっかりしてるからツリーハウスを作るにしても強度も十分だと思うよ」



「そうだね!あまり目立ちにくいし、ちょうど良い場所だね!さすがだよ!それに立派な木だね!早速
みんなを呼んでこよう」






待ち合わせの場所に戻るとショウがマナブと話していた。


「なぁトモイ!すげーよ!マナブ設計用の紙持ってきてんだよ!ヤバいな本当に俺らだけで秘密基地作るんだな!トモイ!!」


「ショウ君!ちょうど、ぴったりの場所を見つけてきたんだよ!皆んなで一緒にいこう!」




秘密基地の予定地に着くとマナブが
設計用紙を広げて、話し始めた。
「これだけしっかりした木だから、ツリーハウスも夢じゃないね!それにまわりにもたくさん木があるから、色んなもの作れそうだね!」


「ハンモックとかどうかな?僕、揺られていたいな。
焚き火はマズいけど、クリスマス用のイルミネーションがあるから、それで飾り付けしても良さそうだよね!」



「ルカ!ナイスだよ!!本当に家みたいだ!
うううん。僕らが作った家はどの家とも比べ物にならないすごい秘密基地だよ!マナブ君ルカのアイディアも設計図に描いてくれる?」



「了解!トモイ君!楽しくなってきたね!」






なんだ…

なんなんだ…これは。

これじゃあまたボクは






「トモイ!ツリーハウスなんて、どうやって作るんだい?
木の上に家を建てるなんて大人でも大変な作業だよ。そんな事小学生の僕らには出来っこないよ」



ほーらね、だからボクは空き家が良いって言ったんだ。
なのにボクの意見を邪魔するから。





「確かに木の上に家の形のツリーハウスを作るのは難しいし、現実的ではないけど、床板を枝と枝の間に固定すれば、立派なツリーハウスだよ。」


「マナブ君!ナイスアイディア!そうだね!それでもカッコイイ秘密基地になるよ!良いね!僕らのカッコイイ秘密基地の姿が見えてきたね!」

トモイは大きな声でみんなに話していた。








…っなんなんだよ
ツリーハウスはマナブの案?
ボクが初めにトモイに話したんだぞ…


ハンモックに灯り…その程度のアイディアで?すごい?
普通の事じゃないか…


それにショウはなんなんだ?
皆んなに指示を出してサブリーダーのつもりか?







それになんだ…この違和感…


まただ…




トモイ…
あいつは何もしていない


何もしていないのに
皆んなでトモイの手柄みたいに…



この場所を見つけたのだってボクなんだ…



トモイは何もしていない


何も考えていない


何も動いていない…




ボクに着いてきて
ボクが決めたこの場所を良いね!と言っただけだ




マナブの案だって
ルカのアイディアだって
「良いね!」と言っただけ



なのに

なのに、なんであいつの周りにみんなが集まってるんだ?!




トモイは何にも出来ないクズ人間なのに…。




また、何もしないトモイの周りでボクらは、あいつの部品になって回転し続ける



何もしない
何も出来ないトモイに向心力がまるで鎖のように働いて
ボクらはトモイの為の部品になる。






ボクはリーダーとして
仲間のために最適な情報を伝えて
仲間のためにアイディアをトモイにみんなに話してるのに




なぜ?ボクの事を皆んなはリーダーと認めないんだ?


なんで?サブリーダーがショウなんだ!?





おかしい…おかしいぞ…



何もかもがおかしい…




なんで人の役に立たない奴が
人の中心に立って指示しているんだ?
そして支持されるんだ?




ボクは頭が悪い奴が嫌いだ
無能な奴らが大嫌いだ

ボクのレベルを下げて付き合ってやってるのに…
こんなにボクが譲歩してやってるのに…
気を遣ってやってんのに…




なんで、ボクが中心に居ないんだ?



なんで何もしないトモイがいつもそこに居て
ボクはトモイに縛られた
ただの部品なんだ?





馬鹿にするな…
そこまで、馬鹿にされてまで、おまえらと つるむ 意味なんてねぇんだよ。



ふざけんな…
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