ハラグロ 2

文字数 468文字

 幸人はハラグロに話を振った。
「グロさん。今日はわざわざ向こうからやって来たの?」
「ああ。定時で終わって新幹線に飛び乗った。明日は休みだしな。実家でゆっくりとするよ。マサミチの話を聞いて楽しみにして来たんだ」
「ご苦労様です。余程楽しみに飢えているんですね」
「うるせえよ。あんたみたいなリア充とは違うんだよ。こっちは。日々、日本経済の為に汗を流しているんだ」
「重ね重ねご苦労様です」
「そう言えば、ユキさん。今年卒業だろう? 就職はどうすんの?」
「父親の会社で働く予定」
「親父さん、何をやってんの?」
「設計事務所」
「ふうん・・・・」
 と、こんこんとノックの音がしてドアが少し開いた。
「あのう・・・」と言ってドアの隙間から男の顔が覗いた。
 三人は慌てて立ち上がる。
「セ、セリさんですか?」とハラグロが尋ねる。声に失望の色が滲んでいる。
 ハラグロを見て男はほっとした顔をする。
「あ、あなたがマサミチさんですか。初めまして」
 そう言って「失礼します」と頭を下げて部屋に入る。
「私は芹沢と言う者です。ニックネームはセリです」
 男はにこやかに言った。
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