本音を述べるなら

文字数 867文字

 基本的に。
 小説を書いていたり、イラストを描いていることを世間(リアル)に公表できる人は凄いなと思う。ましてや実際に異世界ものやファンタジー作品、BL系統などで作家として活躍している人を凄いなと思う。

 何がどう凄いのかと言えば、胸を張っていて、凄いと思うのである。

 仮にどんなに巧く書けたとしても。
 どんなに人気を得ようとも。
 自分が書いたことが知られることに耐えられない。

 たぶん自分は、自分の脳内を見知った他人に知られることが何より嫌なのだ。
 ネットという場所は、リアルと繋がらないからまだ耐えられる。

 恐らく、最も自分を受け入れることのできないのは自分。
 純愛に憧れ、世界平和を願う自分を恥じているのは自分。

 リアルでは無口。
 それは自分のことを話したくないから。
 何も知られたくないから。

 好きなモノを臆せずカミングアウトできる人は凄いと思う。
 俺は何も言えない。
 自分を知らない、関係ない人に知られている分には気にならないが、関わった人に知られるのは嫌である。

 良いものは、どんなジャンルのものでも良いなとは思う。
 しかしそれをリアルで口にすることはない。
 もちろん、職場の人に勧められれば読んだり、観たりはする。
 それはコミュニケーションの一環でしかない。

 同じ趣向の語り相手が欲しいなと思った時期もある。
 だが、”お前の感想の表現は独特過ぎる”と言われた。
 つまりマニアックすぎるということだ。

 普通に生まれたかったなと思った。
 この世に産まれてきたくなかったと思った。
 産まれて幸せだなんて思ったことがない。

 この世は辛すぎる。

 多様性は受け入れられつつある。
 でも、多様性は当たり前に存在している。
 ただみんな偏見の目を向けられるのが怖いから、普通のふりをして生きているに過ぎない。

 だからずっと願っている。
 どんな愛の形でも偏見の目を向けられることのない優しい世界を。
 自分は誰も好きになれないから。
 せめて愛を持つ全ての人たちが幸せでいられる世界を。

 こんなことでさえ、俺は誰にも知られたくない。
 リアルでは。
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