第41話 その名はJUMBO

文字数 1,464文字

香港と言えば、珍宝王国(ジャンボキングダム)
漢字で書くと、うん、アレだね。なんかね•••。
Jumbo Kingdom。
JUMBOと電飾ついた海に浮かぶでっかいギラギラした昔のパチンコ屋のようなお城のような建物を覚えている方も多いのではないでしょうか?
最近でこそ、病院や行政センターみたいなヘルシーな建物増えましたが、一昔前のパチンコ屋ってはギランギランのピッカピカ。
それを100倍派手派手にしたレストランだったんです。
水上レストランだから、近距離を船に乗って行くんですが、浦島太郎が竜宮城に行くような気分で、日本人には非常に受けが良かった。
80年代90年代。日本人にカネがあった時代。
社員旅行に、ハワイは無理でも頑張ってグアム、サイパン、香港に行った時代。
香港返還直前は、香港と言えばビクトリアピークからの夜景、香港島の二階建てトラムに乗って、せり出した電飾看板を眺め、深酒した時に見る悪い夢のようなタイガーバームガーデンを見物、そしてこのジャンボレストランで夕食というのが定番の観光。
訪れた日本人は多い。
なんせ、香港、ここ100年の歴史しか無いからねぇ。観光地によくある古刹とか歴史あるお城とかはあまりないから見るとこは少ない。
近現代のものはあるけど。
あちこちに寺や廟はあるけど、すぐ見終わるんだなあ。
「はい、(まい)って。はい、線香つけて。はい、おみくじひいて。はいアンタ、晩婚と出た!」
「いやいや、それアタシ、質問したっけ?!」
ここまで20分。時間余る余る。
ジャンボレストランは、日光東照宮をテクノっぽく電飾にして100倍派手にした感じ。
もう笑っちゃうくらい派手で、圧倒される。
〝千と千尋の神隠し〟の夜になったら街中に電気がパッとついて、船に乗ってお客さんやってくるみたいな、あのシーンみたいなワクワク感。
ツアコンのアンガールズの田中似のマイケルが、店内あちこちにある、今で言う映えスポットを指示。
「はい、アナタ、ここ入って。はい写真撮って!

「え?何この真っ赤な仏壇??」
「これ椅子よ」
「椅子ゥ?」
「はいこれ、神様。隣で写真撮る!」
「ヒゲ面の下ぶくれのおっさんにしか見えないけど・・・?」
「関羽よ、関帝!」
「あー、三国志の・・・。へー。祀られたんだ。何の神様になったの?武道とか?」
「商売」
「なんでよ?!」
「中国人、金儲けと食べるコトしかキョーミないからネー」
マイケル、細かい事は気にすんな。日本人、細かいねー、はい飯行くぞーとずいずい連行。
調べたら、商売と言えば信用→義理→義に厚いと言えば関羽、つうことらしい。
大食堂で、円卓に大人数さばくためのでかい皿に、山のような料理。まさにツアーという感じの味でねぇ・・・。
個人で行って注文すれば普通においしいらしい。
なんつうか、ツアーならではの・・・修学旅行で出て来る味っぽい感じ。
んで、このあっちもこっちもギンギラギンのジャンボレストラン。コンセプトは?と言えば。
やっぱ竜宮城?昔の豪華な宮廷?
「これは天国とか極楽をイメージしたものネ」とマイケル。
て、天国ゥ??
と、日本人もアメリカ人も唖然。
「ジャパニーズガール、アジアにおける仏教徒(ブッティスト)の天国とはこんな感じなのか??禅はどこ行った・・・?」
「いやいやいや、アメリカのおっちゃん。日本人の考える極楽は、蓮の花とか咲いてて、もっとこう、穏やかなイメージよ」
度肝を抜かれる事間違いなしのレストランでしたね。
さてこのジャンボレストラン。
残念ながら2020年に閉店。
海の上にあったから、解体する為に陸上でボートで移動させてるうちに沈没。
なんとも劇的な最後でした。

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