第42話 ドラえもんの横にFENDI

文字数 938文字

 香港の街中を歩っていると、食べ物や服や、スマホケースとかが、本当にいきなり売ってる。
目的地の店に行く前に買い物もご飯も済んじゃう勢い。
で。その日もいきなりお店屋さんに遭遇。
店主はじいちゃん。
なんとなくフリマっぽい品揃え。
商品は、左から、箸50客、テッカテカのエナメルの靴、小さな硯と墨と筆のセット、茶漉し付きパンダのマグカップ、Zippoライター、広東語版ドラえもんのコミック、FENDIの財布。
ん??FENDIってあのFENDI??
フェンディって、ドラえもんの横で売ってるもん?
明らかに住み分け間違ってるよ?
「ブランドだぞ、財布買ってけ。ホンモノよ!」
「いやいやいや。ニセモンでしょ?」
空港で怒られて取り上げられちゃうよ。
「ホンモノよ!高いからダメか?!んー、じゃ、まけて、680円!」
「ニセモンの値段設定だわ!」
「ニセモンにしたって激安よ!」
「なんでも良いから買え!これどうだ?箸」
「んー、箸、お箸ねー」
中華なデザインの布が巻いてある箸、50客で1000円は確かに安い。
「あ、でもこの、お習字セット可愛いかも」
「こりゃ便利だぞ!水入れてこの墨をすれば、すぐ書ける!」
「へー、ん?固形の墨ってこんなだっけ?」
なんだか違和感を感じる。
「アタシ、高校の時、書道選択者だから!見せて!どれどれ・・・?ん?じいちゃん!この墨、発泡スチロールじゃん?!」
「あー?・・・本当だ」
本当だ、じゃなくて・・・。
「こ、こっちにしろ!Zippo!土産にいい!」
「Zippaって書いてあっけど・・・。飛行機に火器やばいって」
「じゃ、これ!ドラえもんは日本だろ?」
(広東語だと、多啦A夢と書く。字だけだとサッパリわからないよね 。広東語というか香港語みたいな感じでこういうの結構あって、例えばカラオケは、卡拉OKと表記)
「すいません、全然読めない・・・」
「じゃ、やっぱ財布だな!ほら、ここ開けるとな!小銭入れもついてて・・」
チャックのつまむとこ、砕けて粉になる。
「・・・そのチャック、紙粘土製?」
じいちゃんが出すもの出すもの、何かしらオチがついてて、笑っちゃうより心配になるような•••。
結局、パンダの茶漉し付きマグカップを2つと、ドラえもん購入。
不思議な事に、お土産で1番喜ばれたのがこれでした。
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