21話 切れていく関係

文字数 599文字

 私はたぶん、おかしかった。不安が消えないままだった。
 会員様にも言われてしまった。『考えすぎ』と。

 考えすぎなのは分かっている。
 分かっているが、考えてしまう。


 会長様との関係は最悪になっていた。

 私は会長様とのSNSでの関係を切った。
 きっかけはたわいもない事。

 私の日記に、『だったら、書かなければいい』と会長様がコメントしたからだった。
 面倒なコメントがついて嫌だということを愚痴った日記だった。

 言いたいことは分かるし、(ひど)い事ではない。
 けれども、会長様にとって『書かなければいい』が禁句なら、私にとっても同じだった。

 私の中では、『だったら見なければいい=SNSでの関係を切る』になった。

 否。私の中ではたぶん、これの前から会長様とSNSで(つな)がりたくなかったのだと思う。
 余計な部分は見たくない。ひっそりと置いておきたいし、余計な部分は見られたくない。
 切るきっかけを、どこかで探していたのかもしれない。


 結婚をしていた話も会長様から出た。
 私は知っていたと伝えた。
「知っていたなら、結婚している人間に手を出すなんておかしい」
「ノアちゃんのは恋で愛じゃない。単に優しくされたから、勘違いしているだけ」
 いろいろなものが(こじ)れていた。

 それに一つずつ対処する力が、もう私になかった。
 以前なら、こう言って、あれを伝えて、この勘違いはちゃんと訂正して……と思っていたものが、もう働かなかった。
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