8話 パン講習とボイトレ

文字数 914文字

 パンの体験講座に行ってみた。
 生地をバシバシ(たた)くのが心地よくて、習ってみる事にした。
 パン作りは簡単ではないケド、生徒は3人と少人数でサポートも手厚い。
 困った時は講師頼みでそれなりに仕上がるので、楽しかった。

 一人暮らしの部屋はアパート2階で、パン作りには適さなかった。激しく生地を(たた)けば、下の階に響いてしまう事が気になって1・2度作っただけでやめてしまった。
 代わりに、実家に帰る度にパンを作るようになった。実家は一軒家で音を気にする必要はない。パンを食べる人数も多くて作りすぎを気にする必要もない。
 勢いよく生地を(たた)くのは楽しいし、妹たちに任せても楽しく作る事が出来た。

 パン講座は引っ越しをして、通えなくなったのでやめてしまった。



 ボイストレーニングに行ってみた。
 これは声を録音するならば、なるべくいい声をと思った結果だった。
 最初に指摘されたのは、私の声は息が浅い。声質は高めだが、息が浅いので遠くまでは届かない。
 演劇を目指しているわけではないので、遠くまで届かなくてもいいのだが、やはり呼吸は気になる。
 ネット上でだけの公開しかしないし、録音環境は毛布をかぶって音が響くのを抑えるというやり方だった。
 壁が近いと音が響くのである。防音設備などはない完全に趣味の世界だ。
 ボカロを歌ったり、セリフをブログに載せたりして遊んでいた。

 ボイストレーニングは呼吸と基本的を習って、やめてしまった。
 半地下の練習室は、圧迫感があって息苦しかった。防音を兼ねているのは分かるが、私には合わない。

 BGMとして流されているヒーリングミュージックも、不気味で気持ち悪かった。
 小鳥のさえずりや小川の音、風のざわめきが流れているが、何分かすると全く同じ音が流れる事が不愉快だった。
 田舎では、自然の音は聞き飽きるほど聞いているが、全て同じではない。同じ音が繰り返される事は自然ではない。
だったら、何も音がないまま、外の音である車の音や飛行機の音や人の足音に任せてある方がまだマシだ。

 『声を出す』と言う事も私にとって、すごく疲れた。場所がちょっと遠かったのも、疲れた原因かもしれない。
 基本を学べて、知識が増えた事は楽しかった。
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