第１４話：リーマン後遺症とキーエンス投資
文字数 2,003文字
危機の只中で２００８年大統領選挙が行われ、１１月にはバラク・オバマが当選した。オバマ政権の景気刺激策は規模が不足する結果となった。大統領経済諮問委員会のクリスティーナ・ローマーは２００８年１２月の提案で、２０１１年１1四半期までにＧＤＰギャップを埋めるために１兆７千億ドルから１兆８千億ドルの刺激策が必要と計算した。
しかし政権内や議会での政治的駆け引きによって金額は減らされた。刺激策の金額が削減された一因にオバマへの不支持や反対活動もあった。２００９年１月のアメリカ復興・再投資法に共和党議員は反対し下院は全員反対、上院の賛成も３名のみ。保守系運動であるティーパーティー運動によりオバマ政権の景気刺激策や金融規制、企業支援策への反対運動が行われた。
景気刺激策は当初の提案から大幅に減額された７７５０億ドルとなり、さらに７２５０億ドルに削減され本格的な実施も２００９年６月からと遅かったため、１９３０年代の世界恐慌で行われたニューディールほどの効果はなかった。また、金融機関は救済されたが、住宅所有者への支援は不足しており、差し押さえで住宅を失う世帯が続出した。
「１００年に１度」「未曽有」と称されるほど深刻化したリーマン・ショック後の金融危機。当時のＦＲＢ議長バーナンキ氏は金融システムの崩壊を防ぐため大規模な流動性供給などに踏み切った。だが、サブプライムローンの焦げ付きで大きく痛んだ米金融システムの回復には予想以上の時間がかかった。
長引く景気低迷とデフレ圧力に対処のためバーナンキ氏は国債、資産買い入れによる量的緩和「非伝統的」な政策の実施を余儀なくされた。ＦＲＢの金融政策運営における透明性の向上にも尽力した。２％のインフレ目標を導入。他、金融政策を決める連邦公開市場委員会「ＦＯＭＣ」後の議長記者会見、ＦＯＭＣ参加者の経済見通し公表を始めるなど市場との「対話」を重視した。
その手法は他の中央銀行にも大きな影響を与えた。一方、金融危機研究の大家として９０年代からの「失われた１０年」にもがく日銀の対応には歯がゆい思いをした様だ。ＦＲＢ議長就任前、日銀当局者にケチャップでも何でも買い入れるべきだと助言したとの話が伝えられている。しかし、その後、自らがＦＲＢ議長として「何でもやる」事態に追い込まれ解決した。
２００８年１月４日、この頃、楽天証券「昔のＤＬＪ証券」主催の投資勉強会に重宗利一と重宗芳子が招待状と手にして会場へ出かけた。その時、不確実なときは、超優良企業へ投資が良いと言われた。その後、日本で利益率の高い製造企業としてキーエンス、東京エレクトロン、ファナックの内情と株価の変動のグラフを見た。
こうして重宗利一と重宗芳子は、キーエンスへ投資しようと考えた。１０月２４日、ロンドン外国為替市場で一時１ドル９０円台、1ユーロ１１３円台と１９９５年８月以来の円高を記録。円高での日経平均株価が大幅に下落、２００３年５月以来、に８千円を割り、前日比８１１円９０銭安の７６４９円３銭の終値で終了した。
その後、１０月２７日、日経平均株価が２００３年４月のバブル崩壊以降、最安値を更新し、前週末比４８６円１８銭「６.３６％」安の７１６２円９０銭となり、１９８２年１０月７日以来の安値水準を記録した。この超円高を見てキーエンス株もつられて下げるかもしれないと重宗利一が感じた。
予測通り、２００８年１０月２８日の朝、キーエンスの気配値を見ると１３９３０円と大幅に下げた。そこで重宗利一と重宗芳子は１３００株成り行き買い注文を出すと１８１１万円で買え残金が１７８４万円となった。１０月３０日、株安を見て麻生太郎首相が記者会見で総事業規模２６兆９千億円の追加経済対策概要と３年後の消費税、増税案を発表。
翌３１日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を０.５％から０.３％程度に引き下げることを決定した。１２月１２日、麻生太郎首相、総額２３兆円規模となる緊急経済対策、『生活防衛のための緊急対策』の概要を発表し、「主要先進国で一番早い不況脱出を目指す」ことを表明した。
１２月１９日、日本銀行も政策金利の誘導目標を年０.３％から０.１％程度に引き下げることを決定した。１０～１２2月期の国内総生産が、前期比３.３％減、７年ぶりの３四半期連続のマイナス成長。年率換算では１２.７％減とオイルショック直後の１９７４年第一四半期に年率換算１３.１％減となって以来の２桁減となり景気後退が深刻化した。
２００９年が明け、３月１０日、日経平均株価がバブル経済崩壊後最安値を更新した。一方、父、重宗大助は株投資について、さらに慎重に考えていた。８月３０日、第４５回衆議院議員総選挙で民主党が３０８議席を獲得し大勝した。９月１６日、麻生内閣が総辞職して、民主・社民・国民の３党による鳩山由紀夫内閣が成立した。
しかし政権内や議会での政治的駆け引きによって金額は減らされた。刺激策の金額が削減された一因にオバマへの不支持や反対活動もあった。２００９年１月のアメリカ復興・再投資法に共和党議員は反対し下院は全員反対、上院の賛成も３名のみ。保守系運動であるティーパーティー運動によりオバマ政権の景気刺激策や金融規制、企業支援策への反対運動が行われた。
景気刺激策は当初の提案から大幅に減額された７７５０億ドルとなり、さらに７２５０億ドルに削減され本格的な実施も２００９年６月からと遅かったため、１９３０年代の世界恐慌で行われたニューディールほどの効果はなかった。また、金融機関は救済されたが、住宅所有者への支援は不足しており、差し押さえで住宅を失う世帯が続出した。
「１００年に１度」「未曽有」と称されるほど深刻化したリーマン・ショック後の金融危機。当時のＦＲＢ議長バーナンキ氏は金融システムの崩壊を防ぐため大規模な流動性供給などに踏み切った。だが、サブプライムローンの焦げ付きで大きく痛んだ米金融システムの回復には予想以上の時間がかかった。
長引く景気低迷とデフレ圧力に対処のためバーナンキ氏は国債、資産買い入れによる量的緩和「非伝統的」な政策の実施を余儀なくされた。ＦＲＢの金融政策運営における透明性の向上にも尽力した。２％のインフレ目標を導入。他、金融政策を決める連邦公開市場委員会「ＦＯＭＣ」後の議長記者会見、ＦＯＭＣ参加者の経済見通し公表を始めるなど市場との「対話」を重視した。
その手法は他の中央銀行にも大きな影響を与えた。一方、金融危機研究の大家として９０年代からの「失われた１０年」にもがく日銀の対応には歯がゆい思いをした様だ。ＦＲＢ議長就任前、日銀当局者にケチャップでも何でも買い入れるべきだと助言したとの話が伝えられている。しかし、その後、自らがＦＲＢ議長として「何でもやる」事態に追い込まれ解決した。
２００８年１月４日、この頃、楽天証券「昔のＤＬＪ証券」主催の投資勉強会に重宗利一と重宗芳子が招待状と手にして会場へ出かけた。その時、不確実なときは、超優良企業へ投資が良いと言われた。その後、日本で利益率の高い製造企業としてキーエンス、東京エレクトロン、ファナックの内情と株価の変動のグラフを見た。
こうして重宗利一と重宗芳子は、キーエンスへ投資しようと考えた。１０月２４日、ロンドン外国為替市場で一時１ドル９０円台、1ユーロ１１３円台と１９９５年８月以来の円高を記録。円高での日経平均株価が大幅に下落、２００３年５月以来、に８千円を割り、前日比８１１円９０銭安の７６４９円３銭の終値で終了した。
その後、１０月２７日、日経平均株価が２００３年４月のバブル崩壊以降、最安値を更新し、前週末比４８６円１８銭「６.３６％」安の７１６２円９０銭となり、１９８２年１０月７日以来の安値水準を記録した。この超円高を見てキーエンス株もつられて下げるかもしれないと重宗利一が感じた。
予測通り、２００８年１０月２８日の朝、キーエンスの気配値を見ると１３９３０円と大幅に下げた。そこで重宗利一と重宗芳子は１３００株成り行き買い注文を出すと１８１１万円で買え残金が１７８４万円となった。１０月３０日、株安を見て麻生太郎首相が記者会見で総事業規模２６兆９千億円の追加経済対策概要と３年後の消費税、増税案を発表。
翌３１日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を０.５％から０.３％程度に引き下げることを決定した。１２月１２日、麻生太郎首相、総額２３兆円規模となる緊急経済対策、『生活防衛のための緊急対策』の概要を発表し、「主要先進国で一番早い不況脱出を目指す」ことを表明した。
１２月１９日、日本銀行も政策金利の誘導目標を年０.３％から０.１％程度に引き下げることを決定した。１０～１２2月期の国内総生産が、前期比３.３％減、７年ぶりの３四半期連続のマイナス成長。年率換算では１２.７％減とオイルショック直後の１９７４年第一四半期に年率換算１３.１％減となって以来の２桁減となり景気後退が深刻化した。
２００９年が明け、３月１０日、日経平均株価がバブル経済崩壊後最安値を更新した。一方、父、重宗大助は株投資について、さらに慎重に考えていた。８月３０日、第４５回衆議院議員総選挙で民主党が３０８議席を獲得し大勝した。９月１６日、麻生内閣が総辞職して、民主・社民・国民の３党による鳩山由紀夫内閣が成立した。
