第1話:学童疎開、信大を卒業し銀行員へ

文字数 2,048文字

 重宗力蔵は第二次大戦中、東京では食べる物がなく親戚を頼り松本に引っ越した。その後、戦争が終わり1950年6月9日、重宗大助が松本で生まれた。その後、両親は流行病で亡くなった。西松本のお寺の和尚さんが一人で途方にくれる重宗大助を不憫に思った。そして、檀家さんに里親になってくれる様に頼んでくれた。

 その後、大農家で子供の2人の佐鳥郷太の家で育ててくれることになった。佐鳥郷太の家には女の子2人であった。そのため重宗大助は、1958年小学校に入っても学校から帰ってくると野良仕事を手伝った。佐鳥郷太は、重宗大助の名前を変えずに育てていき真面目に野良仕事をする姿に満足していた。

 1963年地元の中学校に入り同級生の友人ができた。素直で気を遣い笑顔が素敵な男の子で人気があった。真面目に勉強をして松本県ケ丘「あがたがおか」高校に合格した。その後、しっかり勉強して信州大学付属病院の近くにある信州大学経済学部に1969年に合格した。幼なじみの山沢仁美、徳峰秀一と親しくしていた。

 山沢仁美の実家は漬物屋とお土産屋「信州そば、おやき、人形、こけし、民芸品」をしていた。徳峰秀一の家は元の日銀松本支店に父が勤めた。しかし、その後、八十二銀行に転職して支店長をしている比較的裕福な家であった。大学に入学後は陸上部に入り長距離の練習をするようになった。

 とにかく松本は景色が美しく走っているだけで気持ち良く、いつの間にか長距離を走り終えると、その爽快感がたまらなかった。経済学部に入ったのは、将来、金融機関で働きたいと言う気持があったためであった。なんで銀行家と言うと単純に企業の安定性、倒産しにくいと考えたからであった。

 それに加えて徳峰秀一のお父さんの徳峰佐吉の威厳ある姿とあふれる知識、上手な人間関係をみて見習おうと考えた。こうして1972年八十二銀行松本支店で企業研修アルバイトを志願し4週間が過ぎ去った。10月に入行試験を受けて合格した。その後、今までお世話になったお寺の和尚さんにお礼を言って住んでいた家を出て銀行の社員寮に入った。

 その頃、重宗大助は、徳峰佐吉に挨拶に行った。その時、これから日本は、きっと成長して大国になる。だから経済も急成長するはずだから日本株投資をして稼げ。そして、新しい分野に投資しろと言われて納得した。実際に徳峰佐吉さんは既に株投資で富を得てベンツに乗って豪邸に住んでいた。

 そしてD証券松本支店の川窪智司さんを紹介してくれ証券口座を開設した。この頃、D証券の川窪さんからアシスタントの新人の玉村桂子さんから投資商品の宣伝を電話で受ける様になり、日曜日にデートした。話をしているうちに彼女が重宗と同じ年だった。さらに先祖が横浜で貿易業をしていたとわかった。

 しかし、戦争が激しくなってきたので一家全員で松本に疎開してきた事も打ち明けてくれ知った。それから急に親しくなっていった。1973年冬のボーナスをもらいN証券に口座を開き百万円を入金し、優秀な担当者として川窪さんを担当者にしてもらった。この頃、重宗大助は自転車で銀行の新規口座獲得のために松本市内を自転車で走り回った。

 そして、知り合いを訪問しつくし縁故関係では、これ以上口座獲得が難しくなっていた。普通口座、定期口座だけでなく、この頃、高金利で有利だった割引金融債「ワリコー」に人気があり、とにかく全力で売りまくった。割引金融債・ワリコーは額面に対し一定の金額を割り引いて発行され額面で満期となり当然クーポンは付いていない。

 ところが税制上うま味があり裕福な人達から好評を博した。通常の債券の償還差益は、雑所得扱いになるのに対し割引金融債は18%分離課税扱いなので税制上有利であった。そのため、資産家に大変人気があり面白いほど売れた。こうして1974年となり春の日曜日、親しくなった玉村桂子さんと松本市内の温泉に行き、ゆっくりくつろいで昼食を食べた。

 その後、玉村さんとデートするのが楽しみになった。暑くなると2人で美ヶ原へ車で出かけ昼間、涼んで車内で昼寝したりして体を休めた。やがて涼しくなるり10月を向けると寒くなった。夜、玉村桂子さんと一緒に大雪渓と言う酒を飲みながら居酒屋で過ごす事も多くなった。た。この年、重宗は、玉村さんにプロポーズした。

 すると21歳の玉村桂子さんが承諾してくれ1975年の春、結婚した。そして、4月27日、松本市内のホテルで、新郎、新婦の会社関係者と友人達を呼んで17人でささやかな結婚式を挙げた。翌日から東京、横浜、鎌倉へ3泊4日の新婚旅行に出かけた。その後、玉村桂子さんは証券会社を辞めた。

 そして、重宗大助の友人の山沢仁美の実家・山沢商店で店員として雇ってもらった。夏が過ぎボーナースのうち80万円を証券口座にさらに入金して180万円にした。1974年10月中旬の朝、証券会社の川窪さんから住友商事株の気配値が106円と安いと言われ同意し1万5千株成り行き買い注文を出した。
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