第６話

　中井は駅に戻り、改札を通ってプラットホームに来た。
　プラットホームは閑散となっていた。
　中井は屋根からつり下がっている電光掲示板を見た。次の列車の欄には「１３：４０」と表示してある。リュックサックからスマートフォンを取り出し、時刻を確認した。「１３：３５」と映っている。地図を表示するアプリケーションを起動し、ポケットからメモを取り出して住所を検索した。
　地図は喫茶店のある住所現在地から目標の住所までの移動手段を映した。
　中井は道筋を確認し、スマートフォンのスイッチを押してスリープモードにした。
　列車が来た。列車は金属光沢のある銀色で、朱色のラインが入っている。プラットホームに停車し、ドアが開いた。わずかな人がドアから出た。
　中井は列車に乗った。
　列車の乗客は少なく、座席も空いていた。
　中井は座席に座り、リュックサックと丸筒を足に乗せた。ドアと天井との間に張り付けてある路線図を見て、降りる駅を確認した。
　アナウンスが流れ、ドアが閉まった。列車が動き出した。
　中井はリュックサックから携帯ラジオを取り出し、イヤピースを耳に入れて電源を入れた。アコースティックギターの音色に合わせた、滑らかな音楽がイヤホンを通して流れた。