8☆ミ
文字数 2,124文字
ニックの鞄の中に潜みながら、魔族の三人は魔法学校へ付いていく事にした。
シールックは堂々とニックの横を歩いていく。
鞄の中からスクナヒコナが飛び出すが、すぐにイシュタルに服の裾を引っ張られて元の位置に座り直しをさせられる。
スクナヒコナの言葉を聞いて、ニックはそっと腕を組んだ。
次の瞬間、イシュタルがニックの鞄から飛び出し、彼の後頭部に手刀を入れた。
ニックは余りの激痛に目玉が飛び出し、その場に蹲る。
気の抜けた返事をしながら、ニックは何故か小躍りを始めた。
まるで何かの重荷を、肩から下ろしたかのように。
やがて学校に着くと、ニックはすぐにパニィのそばへと向かった。
パニィはニックからもぎ取るようにペンダントの包みを開けた。
透し彫りのレリーフの人形入りのペンダントを見て、彼女は目を輝かせる。
パニィはペンダントを身につけると、即座に席に戻っていった。
ニックは一息つくと、鞄の中にいる魔族達に視線を落とす。
しかし彼らの姿はなかった。
ぞろぞろと外に出て遊び出す彼らを、ニックには不安なようで不安もなく静かに見つめた。