5☆ミ
文字数 2,226文字
訳の分からぬまま話が進み、駄弁りに駄弁りが続いていつの間にか時間が過ぎ去っている。
この四人の魔族は何者なのだろうか。
ニックは戸惑いを隠せぬまま、時計を確認した。
針は朝の4時を指している。
四人は意気投合し、そのまま階段を下りてキッチンへと向かった。
当然のように、まるで遠慮の欠片もなく家の中を勝手に物色し始める。
イシュタルとシールックは、魔法剣を生成すると居間のど真ん中で激しく打ち合い始めた。
その様子をアーネトルネはソファーに座って観察し、スクナヒコナはキッチンへと向かう。
彼は食料庫を漁り、適当なツマミを作ると料理酒を引っ張り出した。
果物酒と茶を持って、居間に戻る。
スクナヒコナが料理酒を飲もうとした途端、イシュタルはシールックの剣を完全に弾き飛ばしてスクナヒコナに近付いた。
完全に剣筋を見切られたシールックは恨めしそうにイシュタルを見つめる。
酒を作るのは、実は大変だ。
それを水と同じ感覚で飲むと、まるで酒をその身に入れる意味が無くなってしまうよ。
酒呑童子は本来、人間の苦労をその身に受けて天の恵みに感謝し続ける存在だからね。
重さを知らぬ者に未来はないよ。
そう言いながら、イシュタルは音もなく階段を登るとニックの寝室へと入り込んだ。
彼はベッドの上で爆睡していた。
それを横目に、彼女は部屋に置かれた大量の本棚の背表紙を目で辿る。
イシュタルは一冊の本を手に取ると、静かに階下へと降っていった。
シールックとアーネトルネは居間に置かれた本棚を見ており、スクナは小さい身体を更に小さくしてツマミを齧っている。
イシュタルはそっと手に持った本をテーブルに置くと、ゆっくりと広げた。
茶色に変色したページに、小さな一文があった。
テイシツニンゲンノコロシカタ
シールックは苦笑いし、スクナヒコナは急いでイシュタルの後ろに回った。
彼女の後ろで、魔道書を隅から隅まで貪り読み始める。