7☆ミ
文字数 2,373文字
頭の中のモーターが回転しっぱなしのような感覚を引きずりながら、ニックは登校の準備を始めた。
昨日作ったペンダントを丁寧に梱包し、鞄の中に詰め込む。
課題を一瞬で終わらせてから、教科書類の整頓をした。
ニックの質問に対し、イシュタルはそっとテーブルの上にビー玉を置いた。
赤と青と黄のそれを、指先でコロコロと転がす。
あのね。
神性領域っていうのがあって。
それが心の真の意味での底となるんだけど。
この3つの領域に全到達しないと先に進めないようになっているんだ。
自己領域の底が知れてしまったら、どんなに自分に鞭打っても成長の為の動きが起きないの。
ニックは成長したくて自分に鞭をくれているようだけど、もう無理かもね。
だって既に伸び切っている感があるし。
三人はニックを冷めた目で見つめた。
シールックだけは訳が分からずに彼を温かい目で眺めている。
二人がやたらと騒ぎ立てるのを、スクナヒコナは微妙な目で見つめた。
手元の魔道書に視線を落とし、それからそっとニックに近付く。
裁きだよ。
スクナにバカみたいな美女の怨霊が巣食っているんだけど、それを切り離す術を知りたかったんだ。
それをこのニックとか言う阿呆は下手糞な縁切りで怨念を増やそうとしやがってさ!
バッカ!
ああいう輩には、幸せを願ってそっと切り離すのが最適だよ!
シールックは大粒の涙をポロポロと零して泣き始め、その様子をアーネトルネは呆れたように見つめた。
四人のテンポが良い会話についていけず、ニックは戸惑いながら登校の準備を進めていった。