第12話:新年会、シティバンク勉強会

文字数 2,046文字

 次に真辺益一が亀山百合さんに学校は、どこを出たのと聞いた。すると厚木郊外の湘北短大の電子情報学科を出ましたと答えた。真辺益一が、湘北短大とは、どんな学校ですかと質問した。すると、1974年、ソニーの井深大先生が実学を大切する教育方針で開設した私立の短大だと話した。へー、知らなかったと告げた。実家の小田原から厚木まで通いましたと笑顔で話した。

 スポーツはと聞くと、小さい頃からスイミングスクールに通った。その後、テニススクールにも入ったと語った。すると海津康則さんが小田原の老舗商店の娘さんなんですよと付け加えた。それを聞き、真辺益一が驚いた。何を売ってるのと真辺益一が亀山百合さんに聞くと、ういろう、最中「もなか」、蒲鉾「かまぼこ」、魚の干物、箱根寄木細工などですと答えた。

 でも兄が実家を継ぐので、私は、いずれ家を出るつもりですと話した。その様子を見ていた海津康則さんが、真辺さん、彼女いるの?と聞かれた。いるわけないでしょ、こんな仕事をしてるため、若い女性と会う機会は、ほとんどないと語った。それなら、亀山百合さんと付き合ったらと言った。そして、差し出がましいかもしれませんが、彼女は気が利くし優しいし素晴らしい女子ですよと語った。

 すると真辺益一が顔を赤らめて、私もそう思いますと告げた。亀山百合さんが、一緒にテニス、海水浴なんかしたいわと言った。そうしてくれれば、うれしいなと真辺益一が笑った。是非、付き合ったら良いと海津康則さんが言うと真辺益一が35歳ですと言い、亀山百合さんが25歳と明かした。そして、新ためて宜しくと真辺益一が言うと、こちらこそと真辺益一が、丁寧に頭を下げた。

 この様子を見て、海津康則さんが、これは、きっと素晴らしい出会いなると笑った。真辺が本当に付き合ってくださいと告げると亀山百合さんが、ハイと答えた。その後、新宴会は盛り上がり、今後の世界情勢や株価の動向、欧米、日本の動き、政治の話などで盛り上がり20時半に新年会を終えて真辺益一が、支払いを済ませた。すると、今日は本当にありがとうございますと真辺益一が海津康則さんと亀山百合さんにお礼を言った。

 すると、こちらこそと2人が言い、海津康則さんが上機嫌で真辺益一にうまくやれよと笑いながら言った。こうして、また今年も真辺益一は、湯守の仕事に戻り、早朝、夜に熱海の温泉の管理の仕事を続けた。しかし、土日、真辺益一は、レンタカーを借りて亀山百合さんと箱根をドライブした。熱くなると大磯ロングビーチや海水浴場に出かけ親しくなっていった。

 この頃、シティバンクから真辺紳吉に手紙が届き1千万円以上、預けるとゴールドメンバーとなり数々の特典があると書いてあった。しかし、そんな甘い話はないだろうと無視していたが、数日後、東京帝国ホテルでスイス・プライベートバンクの人を招き説明会を開催し、終了後、パーティーを開くと書いてあり、招待状が2枚届いた。

 これには驚いて真辺紳吉が、N証券の担当者の海津康則さんに相談するとシティバンクは、アメリカでもトップクラスの巨大銀行で数多くのファンド「投資信託」を販売している。また、アメリカの富裕層をメンバーにして派手な営業活動をしていると教えた。それを直接、聞いて安全かなと聞くと人をだましたり詐欺をしたりすることはないでしょうと語った。

 そして、招待状が来たのは、多分、シティバンクが日本に支店を持ちたいほど、日本人富裕層が増えたという事じゃないですかと伝えた。むしろ、情報取集のため入ってみたらいかがですかと発言した。そうだな、アメリカ、ヨーロッパなど世界の投資の現状も知りたいし行ってみるかと真辺紳吉が言うと、シティバンクの投資セミナーの情報も教えてと海津康則さんが話した。

 これで、真辺紳吉は、息子の真辺益一と共にシティバンクの投資セミナーに参加すると連絡をいれた。こうして1989年11月3日、東京帝国ホテルでのシティバンクの投資セミナーに出かけた。11時にホテルの会場へ行き、招待状を2枚、提出した。その時に和食、洋食どっちが好きかと聞かれ、真辺紳吉が和食、益一が洋食を答えた。受付が終わると広い会場へ案内された。

 11時半からシティバンク日本の偉い人が日本にシティバンクを開く、きっかけの話をした。やはり、富裕層が日本でも増えていて、その割に日本は閉鎖的で世界をまたにかけた投資ができな現状である。それに風穴を開け、富裕層の人々のニーズに合った商品開発やヨーロッパ、アメリカのファンド「投資信託」、世界一流のヘッジファンドを紹介するのが使命ですと慇懃な挨拶をした。

 そして、既に1986年から東京、大阪、横浜など大都市で支店を開設したと話した。やがて、お昼になり会議室に昼食が運ばれてきた。食事を終えると、珈琲、紅茶、日本茶のどれが良いと言われ、真辺親子2人共、珈琲が運ばれてきた。それ程、苦くなくて深みがあり、実に美味しい珈琲で、お代わりをしたくらいであった。
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