第1話 ラウトヤルヴィ

文字数 508文字

スオミ国の東端にあるラウトヤルヴィ村は、隣のスオミ国の村より、ロシアの国境が近い。
この辺境の村に、スヴェン・イルマリネンは暮らしていた。
三歳のときからスキーを履き、五歳のときにはもう父親や兄たちについて狩りに出かけ、ウサギやシカやケワタガモを獲った。
夏の間は農民として働き、カブやキャベツやいろいろの野菜を育て、ブルーベリーやラズベリーやコケモモを集めた。

スヴェンは昼食時、父親や兄たちが休んでいる間、自分で缶などで的を作ってずっと射撃の練習をしていた。

ラウトヤルヴィはロシアに近いので、平和な間は、ロシア人たちがラウトヤルヴィに狩りの獲物やベリーを買いに来た。

しかし、1939年11月30日にロシアがスオミに侵攻し、冬戦争が始まると、国境は閉ざされ、18歳になったスヴェンは自然にスオミ軍に入り、銃をかついで国家の防衛に当たった。

スオミ政府はロシアの、領土な割譲を始めとする無茶な要求の数々を断固拒否し、そのためロシアがスオミに侵攻したのだった。しかし、スオミのマンネルヘイム将軍はこれを受け入れることを強く勧めた。ロシアの軍事力を知っていたからだ。冬戦争後、スオミははるかに苛烈な要求を受け入れざるを得なくなる。

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