第2話
文字数 506文字
奇妙な音は止んだようであった。隆章が思うに、それは虫の音ではなく、看護人たちが使用する電子カルテとしての、パソコンの作動音であった。どうやら、自分は気が立っている様だ。隆章は、目を瞑りながら、そう思った。
思うに、この病院に入院することになるとは思っていなかった――隆章は、繊細な頭脳で考えた。元来の人見知りがこうじて、下宿に閉じこもっている際、近隣の住人とトラブルを起こしてしまった。ごく、大人しく気が良い隆章にとっては、まれなことであった。
その他もろもろの事情を合わせて、隆章自身の希望もあって、しばらくこの病院で大人しく療養することになっていたのが、顛末である。
うつらうつらとした。直に朝が来るだろう、と隆章は思う。
食事の配膳が来て、隆章は自身の病室に、食事を運んでそれを食べはじめた。
この病院は、気の良い患者が多い。また、医師たちも隆章に寄り添う真摯な姿勢を見せて、隆章は好感を持っていた。
【先生方も、親切で優しいし、この分だと娑婆(しゃば)に出てからは苦労しそうだな……】
隆章は、スープに食パンを浸しながら、そう思った。娑婆と、無頼めいた言葉が思い付く自身に驚き、思わず一人笑がこぼれる。
思うに、この病院に入院することになるとは思っていなかった――隆章は、繊細な頭脳で考えた。元来の人見知りがこうじて、下宿に閉じこもっている際、近隣の住人とトラブルを起こしてしまった。ごく、大人しく気が良い隆章にとっては、まれなことであった。
その他もろもろの事情を合わせて、隆章自身の希望もあって、しばらくこの病院で大人しく療養することになっていたのが、顛末である。
うつらうつらとした。直に朝が来るだろう、と隆章は思う。
食事の配膳が来て、隆章は自身の病室に、食事を運んでそれを食べはじめた。
この病院は、気の良い患者が多い。また、医師たちも隆章に寄り添う真摯な姿勢を見せて、隆章は好感を持っていた。
【先生方も、親切で優しいし、この分だと娑婆(しゃば)に出てからは苦労しそうだな……】
隆章は、スープに食パンを浸しながら、そう思った。娑婆と、無頼めいた言葉が思い付く自身に驚き、思わず一人笑がこぼれる。