それでもきっと恋だった①
文字数 372文字
寂しさが必要な愛だった。寄り添っても消えない虚が、いつまでも私の心にあった。その人の痛みを知っても、棘を刺されても、私は傍にいた。そうしたかったから。後悔などあるはずもなかった。だけど、その人の言葉の虚と実を私には選り分けることが出来なかった。全て嘘のような気もしたし、全て真実のようにも思えた。どちらでも良かったのかもしれない。ずっと隣で夢をみていられれば、それで私は私としていられるような気がしていた。私の為だけの寂しさであり、それに根を張るような私の為だけの恋だった。その人がいなくなった時、ぽっかりと空いた寂しさよりも強い何かを私は感じた。それは愛惜のようでいて、多分、違う気もした。何が本当かはどうでも良いのかもしれないと、私はその人のことを思いながら考えた。私にとっても偽りの寄り添いだったのかもしれない。それでもきっと恋だった。