閉じた世界での祈り⑦

文字数 287文字

 街中に植えられた木です。ぼくは街の中で色々な人達を沢山、見て来ました。皆、忙しそうで、ぼくを見上げてくれる人はいませんでした。定期的にぼくに行われる葉っぱや枝の手入れで、まだ元気なぼくの一部が、ばさばさと地面に落とされて行くことが、ぼくはとても悲しいです。今日は珍しく良く晴れました。日光浴はとても気持ちが良く、光合成が出来ます。嬉しいです。雨の日も根っこから水分を貰うことが出来て、嬉しいです。突然、森の皆と離されて街中に植えられたぼくだけど。悲しいこともあるけれど、嬉しいこともあります。時々、ほんの時々、ぼくのことを見上げてくれたら。そうしたらぼくはとても幸せです。
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