(四)-3

文字数 279文字

 真佐貴は幹線道路に出て、病院へと急いだ。しかし、朝の通勤ラッシュ時間帯でもあり、交通量が多く、渋滞ができていた。そのため速度を落とさなければならなかった。
 車をノロノロと進めていくと、道路が冠水している事に気づいた。他の車のタイヤの水に浸かるのを見ていると、膝下までは来ないまでもくるぶしまで水に浸かるほどの深さのようだった。
 激しい雨粒が車に叩きつけられるように落ちてきて音を立てた。それほどの雨でも、フロントガラスの視界は良好ではあった。
 しかし後部座席では花梨が小刻みに殺すように息をして、新しい命が地上に舞い降りるのを何とか食い止めていた。

(続く)
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