(二)-8

文字数 270文字

 島尾化学工業本社工場の駐車場に車を停めると、真佐貴はまっすぐ事務所の建物へと歩いて向かった。
 そして事務所に戻ると上司の国分直剛にどの営業先を回ったかなどを報告した。
 「これで今日も退勤だ」と真佐貴が安堵したところへ、背が低く頭のはげ上がった高齢の男性が事務所に入ってきた。
「島尾社長」
 国分がその姿に気づいて声を上げた。
「どうです、売れていますかねえ、ハッスイマスターシリーズは」
 真佐貴は頭をかきながら「いやあ、それが全然……」と言いかけると、国分が「大丈夫です、ご安心下さい! 必ず販路拡大を進めますんで!」と大声で言った。

(続く)
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