(四)

文字数 270文字

 雨晴真佐貴は玄関のドアを開けた。目の前に車が止まっていた。妻の花梨はその後部座席に乗せる。そこまで玄関からほんの四、五歩のところであった。しかし、車と二人の間を遮るように、雨粒がぽつりぽつりと落ち始めてきていた。
 真佐貴はそんなことを気にせず、後部座席のドアを開けて花梨を押し込んだ。
 家の玄関の鍵を閉めるとすぐに運転席に回り、真佐貴はそこに滑り込んだ。
 落ちてきた雨粒は大きく、ぽつりぽつりだったその雨足は、車をエンジンをスタートさせるときには本格的に降り始めていた。
 そうして真佐貴はワイパーのスイッチを入れて車を進発させた。

(続く)
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