第15話 『 やこ ゼミ 』  (※入れるファイル間違えてたんで移しましたw)

文字数 1,157文字

      ◇

野外乃(のそとの)です。」
内外野(うちそとの)です。」
『双子と間違われる美人従姉妹(いとこ)どうし』が、
 大名札を掲げてノリよく自己紹介する。
「どこのお笑い芸人さん?」
 と、ボケつっこみする長足(ながたり)サークル長。
「「本名でーす♡」」
 と声を揃えて可愛くポーズをとる、名物美女+好男子(イケメン)君の『華やか系』3人組の登壇だ。
 観客たちは楽し気に笑いさざめいている。
(…今年も新入生獲得一位は貰ったな☆)
 と心の中でガッツポーズをとる、サークル顧問にしてゼミ主宰である教授と助手たちと、古参の主要メンバーたち…。
 案の定、自由参加サークルの紹介はテンポよくさくさくと進行して、表裏一体というか活動の主体でもある表の学業とのからみの説明に進む。

呪咒(じゅしゅ)ゼミです。」
怨嗟(えんさ)ゼミです。」
「…セミというと昆虫綱半翅目同翅亜目セミ上科Cicadoideaに含まれる昆虫の総称の…」
「そのセミちゃうねん!」
 会場は、笑いの渦である。

 時代は下って、ずいぶんと社会は安定してきた。
 もはや学歴というのは将来の金儲けのための役に立つ道具、などではなく。
 企業に就職しなくても短時間で効率よく稼いで生きていける、暇を持て余した高等遊民たちの…
 暇つぶし?と。
「学生起業家」「喰うに困らない永久院生」「博士号持ち」といった、
ほぼ自己満足だけに近い「肩書」や「箔付け」のための…
 娯楽の、殿堂である。

 とりわけ、古代惑星における地域と時代別の宗教紛争や呪術体系…などの、
「どーでもいー」(まったく生活の役には立たない)
「雑学系教養」と呼ばれる、文化人類学派を標榜した大学は。
 暇を持て余した高知能人たちの、人気の寄合所、と化していた。

(まぁ実際に生身の体で定期的に『登校』してくるのは、全体の10分の1くらい?
 残りは遠隔地からの映像通信参加、ではあるが…)

 惑星リルエンナーレの新興大学ボルポロエンは、『楽しい授業!身につく雑学!』という、簡潔なキャッチフレーズで、近年その受講生をウナギノボリに増やしている、人気校のひとつであった。
 古代惑星上における『呪術や怪談を科学する』ゼミ群と。
 細分化されたジャンル別の派生サークル複合体は、超のつく人気講座だ。

 後には『呪術を実際化する科学』部門が、『最高学府』スリナエロスの歴史学科と共同開発で。
 初代のオリジナル『時間遡行観察器』を制作して、後々、汎宇宙協商参加資格を得る、基準クリアにも関わったりするのだが…
 それは、余談で。

 実は、登壇している2人の『美人ず』が、美『人』ではなく…

 古代の呪術によって不老不死の生命を得た、実在する『元・野狐』たち、であることを…
 うっかり知ってしまった、学府側は。
 いつ、世間に公表すべきか、しないべきか…??
 と。
 延々と、内部で論争をかましている…

 のであった。

       ◇
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み