第14話 奇矯。

文字数 608文字

     ◆

『 桔梗 』という字は
『 ききょう 』と読む。

 読めない単語を辞書でひく時には、
 まず文字の(へん)(ツクリ)や画数から探して…
 と、昔の人は一苦労を強いられたそうだが。

 今は、カーソルを当ててぽんぽんと押せば。
 一発で、簡潔な解答に辿り着くから…
 たいそうラクで、便利だ。

 でも。

 昔の人は。
 野に咲く桔梗の花を…
 じかに、観たことが…
 日常的に…
 あると言う。

 野に咲く桔梗を。
 自分自身のなまの手で、触れて。
 自分自身のなまの手に持つ、
 ハサミで、切って。
 自分自身が、所有する
 自宅に、持って帰って。
 自分で…『活けて』。
 自宅の祖先の仏壇に供える、とか…

 普通に、行われていた、そうだ…


     ◆


 ぼくらは。

 桔梗の意味は、片手で探せるけれど。

 寝床に寝転がったまま。
 桔梗の資料映像と。
 自動的に紹介されてくる、
 桔梗の出てくる、映画や動画を…
 ただ、簡単に。
 眺めることは、
 できるけれども…

 生きた(?)
 本物の、
 ナマの、
 桔梗を…

 自分の眼で。
 見たり、触ったり、
 匂いを嗅いだり…

 する機会は。
 もう、永遠に。
 無いのだ…


     ◆


 ところで。

『活ける』って、何だ…?

『仏壇』? に、
『供える』…??????


 …また!
 意味の分からない単語が。
 増えちゃったじゃないか…ッ!!!!!


     ◆


 マンガや映画じゃない、文字の本を。

 読むのって、
 本ッ当に、

 面倒臭いなぁ…ッ!!!!!★★




 
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