2 瞳

文字数 345文字

「まいったな」

二日後の私は完全に道に迷っていた

あれから半日高速を走り

景色がビル群から住宅街

そして田畑に変わっていった

地平線には

都会育ちには畏怖すら抱かせる

巨大な山脈が広がっていた



高速の方角が逆に伸びる為

近くのインターで下り

県道からひたすら山脈を目指した



山脈まではまだ町が続き

夜になる前に適当な旅館を見つけ一泊する



翌日、早朝から出発し

山のふもとでひっそり経営する

最後のガソリンスタンドで満タンにすると

山脈に続く登り坂に進路をとった

昼には周りが森に囲まれ

対向車も滅多にすれ違わなくなっていった



随分と走ったのではないだろうか

もう民家も信号も電柱すら無く

手付かずの錆びたガードレールだけが何処までも続く



夕方

森だった崖の下に小川が現れ

この日は川原にジープを止め

椅子に腰掛けたまま

腕組みで夜を明かした 

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