1 水無月 零

文字数 293文字

まだ初夏だというのに

都内は

エアコン排熱や排気ガスがこもり

真夏と変わらない暑さだ

屋根の無いジープゆえ

日照りはこたえたが

その分

直接向かい風が肌を突き刺し

体温を適度に逃がしてくれる

幸運にも

今日の首都高は空いていて

立ち往生の蒸し焼きにされる心配は無い



これなら

後、数分もすれば

次のジャンクションに到着する

そしたら

地方に伸びる高速に乗り換え

気がすむまで走り続けるつもりだ



地図は広げず

目的地は気分しだい

夜になったら

何処かの宿、あるいは野宿すればいい



どうせ帰っても

私を待つ家族はいない

私のわがままな私生活を

受け入れてくれる女性は

現実生活には

存在しないだろう



カーラジオを大音量で流しながら

摩天楼を眺める 

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